こんにちは、くまたんです。
今回もジュディス・ヒューマンさんの
「わたしが人間であるために」を
ご紹介させて頂きます。
よろしくお願いします。
「 わたしが人間であるために 」〜シリーズ⑥
第二章 不服従
著者は高校を卒業し、その年の9月にロングアイランド大学に入学する。
著者は教師になりたいという夢があった。
しかし、著者はあえて教育学ではなく、言語療法を専攻することにした。
なぜなら、著者の学費を負担してくれていた米国職業訓練局は、自分が勉強したい分野で、働いている自分と似たような障害の先輩がいない限り、お金は出してはくれなかったからです。
そのため、著者は米国職業訓練局が「容認しうる」であろう「言語療法」をあえて選び、教師になるための、別のルートを模索し始める。
著者の教師の夢の行く手を阻むのはそれだけでなく、当時のニューヨーク市教育委員会は車いすユーザーの教師を採用したことがなかった。
しかし、著者は諦めなかった。
教育委員会がきっと教員免許を出さないだろうと予測して、アメリカ自由人権協会に先手を打って相談もした。
著者はその時、大学一年生だった。
著者は車いすユーザーとして先陣を切り、自分のために、未来の障がい者たちのために道を切り拓いた先駆者なのだと、改めて感じました。
大学時代に大変だったことはやはり車いすでの移動。当然、寮にはスロープもなく、トイレも一段の段差があって不便であった。
また、朝晩の装具の着脱、着替えやベッドの移譲を手伝ってもらうなど介助をお願いできる人を見つけることが重要だった。
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頼むことは慣れていたが、
頼むことが「好き」なわけではなかった。
p69より
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著者は特にトイレに行く時に頼んで気まずくなることを避けるためにできる限り水分をとらないようにしていて、それは今でも変わらず、行けなくなる状況を回避するために、ある程度同じようなことをしてはいるそうです。
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当時はこうして戦略を立てる力、
お願いできる力に頼りきっていた。
p69より
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こうした状況のせいで、著者は本来持っていたはずの社交性が抑圧されていた、こんなに頼みごとばかりしないといけない状況でなければ、当時もっと外交的だったと思うと振り返っています。
著者はたいてい孤独だった、友達はいても完全に輪の中に入れたことはなかった。
みんなが狂ったようにデートするような年頃、環境でありながら、誰とも付き合っていなかった。
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キャンプや障害者コミュニティの中ではロマンチックな関係も経験していたが、大学では違った。
実際、大学時代に学内で知り合った人とデートをしたことは一度もなかった。
p70より
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そんなある日。
著者がいつもなら週末は実家に帰っていたのだが、この日はなぜか寮にいた。
その時、ドアをノックされ、開くとそこには見知らぬ男子学生が立っていた。
彼は何の悪気もなく著者に声をかける。
要約すると
トリプルデートをする予定だったのだが、ひとりの女の子が来れなくなってしまった。
その女の子の代わりに今晩デートができそうな女の子を誰か知らないか?との要件だった。
ここで、著者はほんの一瞬だけ
まったく違う言葉を聞けることを期待していた。
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彼が誘いに来たのは、じつはわたしだった、という展開を願っていた。
そして、「うん!わたし空いてるよ!よかったらぜひ!」と返事することを。
p71より
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その時、著者は「ううん、ちょっと思いつかないな」と返事するので精一杯で、ドアを静かに閉めて、空っぽの部屋の方を向いた。
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頭の中がぐちゃぐちゃで、胸を締め付けられるような悲しみで、何も感じられなかった。
ただ普通の人として見てもらうためにはどうすればいいのか、わからなくなっていた。
心の奥底で「障害のない人たちの世界で完全に受け入れられる日がくるかも」という望みを少しずつ捨て始めた自分がいた。
p71より
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女性として、ではなく
その前の普通の人としてさえ見てもらえない苦悩はどれほどのものだったのか、想像できない。
そんな世界があることすら私は知らなかった。
普段、私たちが当たり前のように歩き、登ったりするちょっとした段差ですら障害物となり得ることを忘れ、全ての人のことを考えてデザインされていないものが未だに多い。
駅など昔に比べてエレベーターは増えたにせよ、主要な駅だけに過ぎず、未だにない場所も多い。
普段、そんなことを少しでも考えたことがあっただろうか?
思い返してみても一度もなかった。
視野の狭さと自分の無知さにすら気づけなかった。
色んな立場からの視点を知らなかった。
今は気づき、知っている。
知らなかったではなく、もう知っている。
だからこそ、今、自分ができることをしようと思う。
著者のこの本との出会いも、私に施設のことや子どもの人権がないことを教えてくれた方々との縁も偶然ではないと思う。
話を戻しますが
この後、いかに著者はその時代の「普通」と闘い乗り越えていくのかを紹介していけたらと思います。
次回は 「 第二章 不服従」 著者がニューヨーク市教育委員会から不合格通知を受け取る所から書いていきたいと思います。
私は毎週、日曜と水曜を担当させて頂いております。
もし、今回の記事に対して何か感じる事がありましたら、ぜひ、皆さんの声もお聞かせ頂けたら幸いです。
最後までお読み頂きありがとうございました。
担当:くまたん
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過去記事のリンク
ぜひ、こちらも読んでみてください♪
シリーズ① 「チベットの生きる魔法」
"師からの助言"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/20/120000
シリーズ② 「チベットの生きる魔法」
"物事は悪くとってはいけないよ"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/23/120000
シリーズ③「チベットの生きる魔法」
"変化しないものなどない"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/27/120000
シリーズ④「チベットの生きる魔法」
"無我について"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/30/120000
シリーズ⑤「チベットの生きる魔法」
"苦、不満足について"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/04/120000
シリーズ⑥「チベットの生きる魔法」
"ただここにあることをまなぶ"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/07/120000
シリーズ⑦「チベットの生きる魔法」
"戦士のスローガン"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/11/120000
シリーズ⑧「チベットの生きる魔法」
"四つのかぎりない特性"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/14/120000
シリーズ⑨「チベットの生きる魔法」
"愛あふれる優しさ"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/18/120000
シリーズ⑩「チベットの生きる魔法」
"愛あふれる優しさ②"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/21/120000
シリーズ11「チベットの生きる魔法」
"思いやり"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/25/120000
シリーズ12「チベットの生きる魔法」
"トンレン"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/28/120000
シリーズ13「チベットの生きる魔法」
"心に響いた言葉"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/01/120000
シリーズ14「チベットの生きる魔法」完結
"偏見のない心で"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/04/120000
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シリーズ① 「死について41の答え」
"疑いを尊重する"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/08/120000
シリーズ② 「死について41の答え」
"疑いを信頼する"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/11/120000
シリーズ③ 「死について41の答え」
"信者ではなく探求者に"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/15/120000
シリーズ④ 「死について41の答え」
"人のことを考えるな"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/18/120000
シリーズ⑤ 「死について41の答え」
"この世から自由になる"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/22/120000
シリーズ⑥ 「死について41の答え」
"この世から自由になる②"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/25/120000
シリーズ⑦ 「死について41の答え」
"未知なるたび"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/01/120000
シリーズ⑧ 「死について41の答え」
"死は最後のタブー"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/05/120000
シリーズ⑨ 「死について41の答え」
"自分を犠牲にしない"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/08/120000
シリーズ⑩ 「死について41の答え」完結
"全世界を忘れる事だ!"
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