アコアのブログ

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「子どもを生きればおとなになれる」シリーズ③~アコアOnline Book Salon


※『アコアOnlineBookSalon』は「コロナウィルス感染症:いのちとこころを守るSOS基金」に寄せられた市民の方のご寄付によるご支援を頂き2021年12月末まで行う事業です。

 

 

担当:伊藤 楓

「子どもを生きればおとなになれる」

著者:クラウディア・ブラック

水澤都加佐 監訳 / 武田裕子 訳


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皆様こんにちは😊


「子どもを生きればおとなになれる」シリーズ③です。


前回のシリーズ②では「子どもが見捨てられる」

について、書きました。


今回は、「境界の混乱」について

書きたいと思います。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

境界とは、自分が他の人とは別の独立した

存在であることを保証するものです。


私たちの育った家庭では、多くの場合、

境界のゆがみや混乱が起こっていたり、

はっきりとした境界が存在しませんでした。

それは見捨てられ体験を引き起こすもとになります。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈p29より抜粋



▫️親が子どもを仲間として扱う

親が子どもを、まるで友人か仲間のような

関係をつくること。


親子の境界が存在しない。


子どもの年齢にふさわしくないことまで

知らせてしまう。

不適切な情報を与えられた子どもは

重荷に感じ罪悪感さえ味わうこともある。

(幼児へ浮気の話、職場での愚痴や不安など)


▫️親が子どもに責任を負わせようとする

親が自分の感情や考えや行動に責任を持たず、

子どもにその責任を負わせようとする。


これは親子の境界がねじれた状態

・結婚がダメになったのは子どものせい

・子どものせいでストレスがたまる

・酒やドラッグが必要なのは子どものせい

・子どもの責任ではないのに子どもへ責任転嫁する

・不可能なことをやらせようとする

・子どもに無謀な努力をさせる

子どもが力不足に打ちのめされる体験へと

駆り立ててしまうことが親の問題。


▫️親のニーズが子どもより優先となる

境界への侵害が起こっています


親が自分のニーズを満たすために子どもを利用する


親の自尊心を満たすためだけの道具にする


利用価値のあるときだけしか存在を認めない


▫️親が子どもに自分と同じでいるよう求める

子どもの境界を認めない


親と同じものを好み、同じような服装をし、同じように感じることを求める。


親の生き方や価値観を押し付ける


▫️親が子どもを自分の延長とみなす

子ども自身の境界を認めない


子どもに対して、自分が果たせなかった夢を

かなえてほしいと望む。


親が決めた学校に通う。

(親が行きたかったが行けなかった学校)


親が選んだ職業につかせる。


親が望む相手と親が望む時期に結婚させる。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

親の望みと真逆をあえて選ぶ子ども

親が憧れている学校だけは選ばない

親が絶対にすきになりそうにない相手と結婚する

自分の自由な選択ではなく、親に対する怒りによって決めている場合もある。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

「この場合、どちらも結果ではなく決め方が問題です」


殴る蹴るだけが虐待ではありません。

親の境界の侵害、親子の境界の混乱が結果的に

子どもの心に傷をつくり、時にトラウマに

なってしまうということなのです。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

親が子どもの境界を尊重せず、境界に侵入する

とき、子どもには一人の人間としての価値が

ないというメッセージを与えていることになります。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈p33より抜粋


親子だけではなく、大人である私たちもそうですが、

境界があることをを知ればば、自己否定感の

攻撃を受けずにすみます。


自分を傷つけるメッセージを信じこまずに、

そのメッセージを拒否することも出来るのです。


境界の侵害に怒りを感じNOを言う。

時に、有効な対処も考えられ、人に相談やSOS

出すことも出来る場所もあるでしょう。

そして、自分自身の感情をきちんと

キャッチし、強い自己否定感に襲われることも

ありません。


強い自己否定感に襲われると、人の意見に

耳を傾けずに自分ばかりを攻め続け、

自分の他の感情すら気づくことも

出来なくなります。

自分が何に恐れているのか?

自分が何に悲しんでいるのか?

何も分からないままモヤモヤした気持ちを

抱え、生活してしまうのです。


著者は、境界がないと見捨てられ体験は

決定的な痛みを生む。と、言っています。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

子どもはもともと、親が間違っているとか、

親の行動は正しくないといったようには

考えないものです。

中略

その代わり子どもは、自分が間違っていて、

悪いんだという重荷を背負いこみます。

そうすることで、親の誤った行動をなかったことにし、

少しでも安全を感じようとするのです。

中略


私たちが今、知っておかなければならないのは、

見捨てられ体験も境界の侵害も、決して私たちの

欠点が原因ではないし私たちが無価値だからでも

ないということです。


そうではなく、私たちを傷つけた人の

間違った考え方や、誤った信念、

不健康な行動こそがそこに

現れているのです。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈p37より抜粋


「癒されるためには、心が傷ついた原因を

理解し、受け入れることが必要です。

そうしない限り、痛みは去らず、おとなに

なってからの人生を引きずりまわすものと

なるのです。」

と、書かれています。


私は、大人になる過程で、

自分に何が起きているのか?

ということを考えてきました。


例えば、他の子ども達は、「家」から学校に

通ってくるのに、どうして私は家族と離れ

児童養護施設」に住んでいるのか。


職員は言いました。

「あなたが悪い子だから、お母さん達は

あなたと一緒に住みたくないんだって 笑」


そして、ある時は、

「お父さんもお母さんも悪い人だから

あなたはおうちに帰れないんだよ」


そして、家に帰りたい!と訴えると

別の職員はここ言いました。


「そんなこと言ってもしょうがないよ。困らせないで。」


子どもの頃の私は、常に混乱していました。

私が悪い子だからだと落ち込み

変な親だからだ!と腹を立て

怒っても泣いても何も変わらないと理解し

感情を出すことを止め、親を恨み、

大人に反抗し、人との交流を避け、

思考を停止し、考えることを放棄しました。


大人になり、自分に起きた出来事を整理し

傷ついた原因を理解しました。


向精神薬や、精神病院での入院では、

全く回復しませんでしたが、素敵な仲間達と

出逢い、様々なことを学び理解し、

大きな心の傷を癒す方法を知りました。


自分のトラウマや悩みに向き合うことは

ひとりではしんどいのです。


安全な場所で信頼する仲間達の力を借り、

ひとつひとつ傷を確かめ癒していく。

時間はかかりますが、解決しない悩みはない

と、楽観的に考えられるようになりました。


まずは、知る。

自分のこと、身体の状態、心の傷、

その原因。


自分を癒しお世話しながら、

人と関わり繋がっていくこと。


それが、私にとっての回復へのプロセス

でした。


皆様はいかがですか?

機会があれば、ぜひ教えてくださいね!!😊



シリーズ③を読んで下さりありがとうございます。

次回引き続きシリーズ④をご紹介します!!

 


-----------------------------٭.*・゚ .゚・*..*٭

 


私は過去の怒りや罪悪感を抱えている。

だから、癒されるに値する。

 

クラウディア・ブラック

「自分を認めるための言葉」

 

―――


様々な本に出逢える幸せと

この記事を読んで下さる皆様へ感謝致します。

 


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【伊藤 :前回ご紹介した本】


「子どもを生きればおとなになれる」シリーズ①

「何を喪失したのか分からない」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/16/120000



「子どもを生きればおとなになれる」シリーズ②

子どもが「見捨てられる」ことについて

 https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/19/120000

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「考える人とおめでたい人はどちらが幸せか」

シリーズ①「考えることを楽しめ!」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/09/120000


「考える人とおめでたい人はどちらが幸せか」

シリーズ②「どうして学校に行かなければならないのか」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/12/120000


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


「世界最高の教室」シリーズ①

「生きる力をつける」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/28/120000

 

 「世界最高の教室」シリーズ②

「問題解決型学習」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/02/120000


 「世界最高の教室」シリーズ③

「自己主導性」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/05/120000

 

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「新・子どもの虐待」

 

シリーズ①「子どもの虐待対応フレームワーク」について

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/04/120000



シリーズ②「エンパワメントとレジリアンシー」についてhttps://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/07/120000



シリーズ③「子ども観と子ども像」について

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/11/120000



シリーズ④「体罰の六つの問題」について

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/14/120000



シリーズ⑤「怒りの仮面」について

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/18/120000



シリーズ⑥「性的虐待の深刻さ」について

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/21/120000



シリーズ⑦「DVが及ぼす影響」について

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/25/120000

 

 

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〇エンパワーチャンネル1/2

「社会的養護の当事者が語る 前編 伊藤 楓」

https://youtu.be/0wA-6n-uDy0

 


〇エンパワーチャンネル2/2

「社会的養護の当事者が語る 後編 伊藤 楓」

→ https://youtu.be/KTi7y8lQx8Y



〇エンパワーチャンネルhttps://youtube.com/channel/UCifhmLrFFzWMz5Eq8mr-hTA

 

 

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