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「チベットの生きる魔法」
著者 ペマ・チョドロン
訳 えのめ有実子
担当:くまたん
こんにちは、くまたんです。
今回もペマ・チョドロンさんの
「チベットの生きる魔法」を
ご紹介させて頂きます。
よろしくお願いします。
「チベットの生きる魔法」〜シリーズ11
第8章 思いやり p89
"悪しきことを外へ追い出すやり方もありますが、
私は、悪しきことを思いやりとともに
受け入れます。"
ーマチク・ラブドロン
◯苦しみの中にあるものを想像する。
ボーディチッタ(完全に開け放つ心、あるいは柔らかい所、愛する心)を目覚めさせるために思いやりを育むという方法もあります。
ですが、これは愛あふれる優しさを育むよりもずっと辛いかもしれないと著者は仰っています。
十九世紀のヨーガ行者パトラル・リンポチェは
「苦しみの中にあるものを想像するように」と言いました。
例えば、と殺場に連れて行かれようとしている動物とか、死刑を待つ人などを「自分がその立場だったらと考えてみるように」と言います。
他者の苦しみをそのまま自分のものとして受け止めることは荒れ狂う河に自分の子どもが流されていくのに、ただ見ているしかない両腕のない母親の苦しみの立場に身を置くのと同じくらい辛いものです。
タイトルの「思いやり」をみて、私は他人に対して思いやりはあるほうだ!などと軽い気持ちで読み進めていましたが、そんな生やさしいものではありませんでした。
この訓練では「苦痛への恐れを体験する」
「勇気」がセットで必要だったのです。
「思いやり」を養うためには自分たちの経験から苦しみや共感だけでなく、残酷さや恐怖までも引き出さなくてはなりません。
思いやるということは上下関係はない対等な関係です。
「決して医者と病人のような関係ではないのです。」
「自分の心の闇を知ってはじめて、他者の心の闇がわかるのです。」
「みんな同じ人間であると気づいたときに、本物の思いやりが生まれるのです。」
ここはとても大切だと思いました。
相手を思いやる前に
自身の表面上の部分だけをみるのではなく、まずは自身の中の陰と陽、光と闇を理解し、受け入れる作業をする。
まずは自分を思いやることができなければ
心から相手を思いやることはできない。
なぜならそれは愛ある振る舞いであって
愛ではないからです。
思いやりとは相手の立場を明確にイメージでき、寄りそう準備ができなければ、育めず、ボーディチッタを目覚めさせることはできません。
話を戻します。
思いやりの実践をするためにはまずは静かに瞑想をすることから始めます。
そして七段階を踏んでいきます。
①自分自身への思いやりを目覚めさせます。
「私が苦しみと苦しみのもとと無縁でありますように」
②自然と思いやりの心が湧いてくる相手または動物のために思いやりをめざめさせます。
「( )が苦しみと苦しみのもとと無縁でありますように」
③友人に向けて思いやりを目覚めさせます。
④特に親しくない人への思いやりを目覚めさせます。
⑤嫌いな人への思いやりを目覚めさせます。
⑥以上の五段階の人すべてへ思いやりを目覚めさせます。
⑦世界のすべての存在へ向けて思いやりを目覚めさせます。
「愛あふれる優しさ」の実践と同じようにまずは一番身近な自分から、だんだんと遠くへ広げていきます。
③以降は全て
「( )が苦しみと苦しみのもとと無縁でありますように」この( )内にそれぞれ思い浮かぶ相手の名前をあてはめ願っていきましょう。
どんな実践や訓練もまずは自分自身から始まり、自分との関係性が薄かったり、距離がある人たちへ続き、最終的にはすべての存在のために祈れる自分へとなっていく事で思いやりを育み、ボーディチッタを目覚めさせることができるようになっていきます。
特に四段階と五段階はこの実践の鬼門です。
特に親しくない人の事を願うというのはイメージ自体がしにくいからです。
ですが、逆に自分がいかに世の中の大多数の人たちに対して無関心だったのかに気づきます。
その無関心な人たちの事を意識して願うとぼやっとしていたよく知らない人たちが途端にはっきりと認識し見えてくるようになります。
これを著者は「私たちは自分自身を孤立や無関心の「牢獄」からの解放」と表現していますが、いかに多くの人たちに対して無関心であったのか、そのことによって自身を孤立させ、周りを見ないことで牢獄に自ら入っていたのかに気づかせてくれます。
第五段階についてはそもそも嫌いな人の事を願いたくもない。という気持ちが願うことを阻みます。
この時に自分の中の偏見や嫌悪感と向き合い、あらためてはっきりと見えてきます。
「誰かに対して心を閉じれば、自分を傷つける」
この実践の大事なところは自身の恐れや怒りや自己憐憫などの悪癖は、黙認することでさらに強力になるということです。
最も思いやりのある行為とは、これらの悪癖を断つことです。
すぐに自分の殻に閉じこもり、心の壁を高く築きあげるのをやめて、今まで思いつかなかったことをやってみる、それがこの第五段階の実践です。
確かに嫌いな人の平和を願う行為は究極の思いやり行為だなと思います。
私もこの段階で苦労しております。
思いやりとはなんなのかを掘り下げていくとこんなにも深いとは思ってもみませんでした。
今の日本は多くの方々が他人に対して、下手すれば家族や友人にたいしても無関心が蔓延しているように思います。
だからこそ、この思いやりの実践は人と人の繋がりの大切さに改めて気づかせてくれます。
自分を満足させる最も良い方法
それは他者を愛し気遣うこと
「願い」の実践は自分自身を不幸にし
あらゆる人に苦悩をもたらす「心の壁」を
力強く打ち壊してくれるのです。
最後に著者がある教師から言われた言葉で今回のご紹介を終わろうと思います。
「永遠の幸福を望むなら、自分の「まゆ」から抜け出すよりほかに道はない」
次回は「トンレンの実践」について書いていきたいと思います。
もし、今回の記事に対して何か感じる事がありましたら、ぜひ、皆さんの声もお聞かせ頂けたら幸いです。
次回のシリーズも引き続き、「チベットの生きる魔法」をご紹介していきたいと思います!
最後までお読み頂きありがとうございました。
担当:くまたん
過去記事のリンク
ぜひ、こちらも読んでみてください♪
シリーズ① 「チベットの生きる魔法」
"師からの助言"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/20/120000
シリーズ② 「チベットの生きる魔法」
"物事は悪くとってはいけないよ"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/23/120000
シリーズ③「チベットの生きる魔法」
"変化しないものなどない"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/27/120000
シリーズ④「チベットの生きる魔法」
"無我について"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/30/120000
シリーズ⑤「チベットの生きる魔法」
"苦、不満足について"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/04/120000
シリーズ⑥「チベットの生きる魔法」
"ただここにあることをまなぶ"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/07/120000
シリーズ⑦「チベットの生きる魔法」
"戦士のスローガン"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/11/120000
シリーズ⑧「チベットの生きる魔法」
"四つのかぎりない特性"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/14/120000
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〇エンパワーチャンネル1/2
「社会的養護の当事者が語る 前編 伊藤 楓」
〇エンパワーチャンネル2/2
「社会的養護の当事者が語る 後編 伊藤 楓」
→ https://youtu.be/KTi7y8lQx8Y
〇エンパワーチャンネル→https://youtube.com/channel/UCifhmLrFFzWMz5Eq8mr-hTA
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