アコアのブログ

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「子どもを生きればおとなになれる」シリーズ25~アコアOnlineBookSalon


※『アコアOnlineBookSalon』は「コロナウィルス感染症:いのちとこころを守るSOS基金」に寄せられた市民の方のご寄付によるご支援を頂き2021年12月末まで行う事業です。

 

Twitter ⇒ @acoaBookSalon

 

担当:伊藤 楓

「子どもを生きればおとなになれる」

著者:クラウディア・ブラック

水澤都加佐 監訳 / 武田裕子 訳


f:id:npoacoa:20210716024836j:plain

 


―――


皆様こんにちは😊楓です。


「子どもを生きればおとなになれる」シリーズ25です。


前回のシリーズ24では、「役割に縛りつけていた信念」


について書きました。


今回は、「新しい関係をつくる」

についてまとめていこうと思います。


━━━━━━━━━━━━━━━


インナーアダルトを育てていくことで、

あなたは子ども時代のルールや役割を

手放し、別の選択肢を手にすることができます。


人間関係はかつて経験したことのない

自由なものになるでしょう。


━━━━━━━━━━━━━━━p194より



この章では、行き詰まっていた過去の関係を

整理し、現在の人間関係を見直して、

親密な関係を育てる方法を学んでいきます。


これまでのシリーズで回復のプロセスを

まとめてきました。

自分の痛みとニーズを知り人生のコースを変え、

限界と境界を知り、核となる5つの力を持ち、

秘密と役割を手放す。


そして、信念を変え関係を見直すこと。


これらを「知る」ことで、自分の困りごとや

悩み、対人関係のトラブルなど、様々な理解が

深まると思います。


まずは「知ること」そして、回復のプロセスを

ひとつひとつ進むこと。


著者も回復は長い道のりだと説明していた通り、

簡単に出る「答え」ばかりを求めさまよっても

実は、誰も「答え」は持っていないということ。


人に助けを求めたり、相談しつながりをもちながら、

その中で、自分で理解し納得し選択していくことが

回復なのだと私は思います。


━━━━━━━━━━━━━━━


人との関係は、友人であれ、家族であれ、

同僚であれ、片方が寄りかかったり、

あるいは頑固に自力でがんばろうとするものでは

ありません。


それに、これからは

「一人が得をすればもう一人が損をする」

というしくみで人生を考える必要もありません。


健康な関係とは、相互に支え

合い分かち合うものです


━━━━━━━━━━━━━━━p194より


子どもにとって、おとなや親の影響は

とても大きく強いものです。


子どもの頃から染み付いたルールや役割を

手放すことは、簡単なことではないでしょう。


私も親から虐待をうけ、児童養護施設で育った時に、

毎日のルーチン、宗教的な祈り、決まり事や、従わなければならない絶対的ルールが存在しました。


施設内も子ども達のこころも、毎日誰もが

皆、混乱していました。


「神様は居ないから祈らない!」


と、言い張った私に職員はこう言いました。


「あなたは"絶対"に罰が与えられるわね」


そう言って反省する部屋に閉じ込められました。

神様からの罰ではなく職員からの罰でね 



「健康な関係性」については、おとなになり

学びました。


子ども時代は、人間関係は"不健康な関係"のまま

育ってしまいましたが、いまとなれば、

支配的で怖いおとなたちも、優しく理解ある

おとなたちも、健康な関係性を知らなかった

のだろう。そう思います。


私は、自分のトラウマや自分自身のことを知る

方法や、自分の心を守る方法などを様々な形で

学べたことは、こころの回復にとても役立ちました。


自分自身で選択し、自分の意思を手放さず、

不健康な人間関係を手放すことができたことで

心の回復を自覚することができました。


高校生の頃は、必死に"被害者ポジション"

しがみついていました。


摂食障害や飲酒、薬物依存などに陥っても、

自傷行為を繰り返しても心に傷があることを

認めませんでした。


親のせいで人生が狂ったと思いこみ、

私が寂しい、悲しい、怒りなどの感情の気持ち

を表現する方法すら知らなかった。


ずっと被害者で生き続けることは、

精神的にも身体的にも、とてもしんどく

つらいものでした。


過去は変えることはできないので、現在は

体験者として語ることはできます。

それは、以前のシリーズの中でお話しましたが、

生きるコースを変えられたからです。


━━━━━━━━━━━━━━━


関係性と相手への期待


健康な関係を作りたいと思っている人にとって、

カギとなるのは期待のレベルということです。


家族が回復を始めていないとしたら、

あなたほど正直でも率直でもないでしょう。


あなたに思いやりを示してはくれないでしょう。


人間関係には、限界というものがあります


この限界に気づくことで、私たちは期待を

現実的なレベルに下げるこができるし、


他人の態度や行動にがっかりすることも

少なくなります。


━━━━━━━━━━━━━━━p195


「相手には無理なことやその気がないことを

期待するのをやめれば、あなたの人間関係は

もっと健康的なものになります。


話す必要のあることは、わかってくれる別の人

に話せばいいのです。」


誰かに自分のことを相談する時は、

人と時や場所を選び相談することが

大切です。


おとなは、私の気持ちも理解してくれるし、

問題を解決してくれるものだと、

期待ばかりしていた子ども時代は、常に

おとな達の言葉に傷つき、落ち込み、

がっかりしていました。


「わかってくれる別の人」


これは、本当にそうだなと思います。

相談する人を選ぶことは、悪いことではありません。

子どもの頃は、それすらも分かりませんでした。


親は「いつか」迎えに来てくれるだろうと

「期待」ばかりしていました。


何年経っても迎えには来なかった。

これは、今となれば結果論ですが、

期待が膨らめば膨らむ程、落ち込みも酷く

その落ち込みから、悲しみも深くなりました。


その悲しみが怒りに変わり、親に恨みを

持つようになりました。


秘密や役割を手放すこともコースを変える方法も、

感情を表現することも分からず、

ただ、自己否定を繰り返しました。


著者が言う通り、本当は、親や、親代わりの職員

からの自分の「評価」が気になり、ただ褒めて

もらったり、自分の価値や存在を認めて

欲しかっただけなのかも知れません。


━━━━━━━━━━━━━━━


あなた自身の成長は、

他人を変えるためではありません


あなたにとって大切な人が、今とは別の

生き方を探し求めたり、別の生き方を選ぶとは

限らないのです。


中略


回復があなた自身のもので、あなたは自分の

ために変わるのだということです。


━━━━━━━━━━━━━━━p196


▫️なぜ家族と関わろうとするのか考えてみよう!


・忠誠心

・義務感

・楽しいから

・愛しているから

・今でも家族に自分を認めて欲しい、評価して

欲しいと必死に願っているから


━━━━━━━━━━━━━━━


何歳であろうと、人はみな、親に自分の

価値を認めて欲しいのです。

子ども時代に親からの確認を得られなかった

としたら、その思いはよけいに強くなるはずです。


たとえ自分ではうちけしていても。

けれど、残念なことに、病んでいる親や不健康な親が、

子どもに確認や評価を与えることはまずありません。


子ども時代と同じように、今でもたぶんそれは

無理なのです。


むしろ、よくあるのは、いまや親のほうが

私たちの評価を必死に求めているということです。


━━━━━━━━━━━━━━━p197


「回復を始めていない人との関係を保ちつつ

自分を大切にするには、限界と境界をつくり

直すことが欠かせません。」


と、著者は綴っています。


凍った感情のままで思い違いをしている人、

相手を否定や否認ばかりし、アディクション

強迫行動の真っ只中にいる親やきょうだい、

パートナーと一緒に過ごしたとき、

自分の境界が保てなくなるまで我慢をし続け

一緒に楽しい時間を過ごせるでしょうか。


私たちは、人を変えるために回復するのではなく、

自分のために回復する、ということなのです。


━━━━━━━━━━━━━━━


「きょうだいとのつながり」


きょうだいというのは、お互いの自己否定感の

証人のようなものです。


お互いの存在が、子ども時代の傷つき、失望、怖れ、怒りを映しだす鏡となっているのです。


関係が表面的になるのも不思議ではありません。


そうすれば、痛みを思い出さずにすむからです。


━━━━━━━━━━━━━━━p203


私はきょうだいが多く、上と下にはさまれた

真ん中の子どもという位置で育ちました。


兄や姉とは年が離れているし、

一番下の弟は赤ちゃん。


だから、ひとつ下の弟といつも行動を

共にしていました。


私の上のきょうだいたちは、親のような存在。

そして、下の弟と妹たちは、私が親のような存在でした。


私のきょうだいは、役割は明確で、家族の秘密を

忠実に守り、間違えたメッセージを受け続けました。


私たちきょうだいは全員、子ども時代を

きちんと生きていませんでした。


必ず何かの役割があり、その役割にそって

生活しなければ、自分の身の安全と弟や妹たちの

安全を確保できませんでした。


親切なおとなたちは、

「困ったことがあったらどんなことでも言いなさい」

と、言いましたが子どもが言える訳がないんです。


子どもは、自分の身の安全を守ることに

精一杯で、相談をするなんて知りませんし

もしも、他の人に助けを求めたりしたら、

親からの仕返し(虐待)を考えたら、恐怖でしかありません。


そもそも、自分の家が「おかしい」ことにすら

気がついていませんでした。


今回のテーマである「新しい関係をつくる」

いうことは、相談できる新しい人と出逢うこと

だけではなく、家族との関係の改善へ向けた

方法、パートナーや友人、同僚、自分に関わる

人との関係性を見直してみることも含まれます。


ぜひ、前回までのシリーズを読み返して

みてください。次回のシリーズにこの続きを

まとめています。


次回のシリーズ26では引き続き

「家族にあなたの痛みを話したいなら」

についてまとめています。


シリーズ25を読んで下さりありがとうございます


各シリーズの記事と合わせて読むこと

をおすすめします。

 

❁✿✾担当:伊藤  

毎週、月曜日と金曜日。月に計8回で更新しています  ✾✿❁︎


-----------------------------٭.*・゚ .


もしも家族からまったく離れるとしても、

その家族システムからあなたが引き継いだ

筋書きには、自分で責任を負うことが必要です。


自分で悲しみや痛みを表現して傷を癒さない

限り、あなたは古い感情や、不健康な信念の中に

取り残されてしまうからです。


クラウディア・ブラック

 

―――


様々な本に出逢える幸せと

この記事を読んで下さる皆様へ感謝致します。

 

-----------------------------٭.*・゚ .゚・*..*٭


【伊藤 :前回ご紹介した本】


「子どもを生きればおとなになれる」シリーズ①

「何を喪失したのか分からない」

 https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/16/120000


「子どもを生きればおとなになれる」シリーズ②

子どもが「見捨てられる」

 https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/19/120000


「子どもを生きればおとなになれる」シリーズ③「境界の混乱」

 https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/23/120000


「子どもを生きればおとなになれる」シリーズ④「喪失が与える影響」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/26/120000


「子どもを生きればおとなになれる」シリーズ⑤「現在の痛みのサイクルに気づく」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/26/120000


「子どもを生きればおとなになれる」シリーズ⑥「痛みに対する感情の反応」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/06/120000


「子どもを生きればおとなになれる」シリーズ⑦「痛みに対する感情の反応【激怒】」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/09/120000


「子どもを生きればおとなになれる」シリーズ⑧「痛みに対する感情の反応【うつ】」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/13/120000


「子どもを生きればおとなになれる」シリーズ⑨「痛みに対する感情の反応【うつの急性症状】」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/16/120000


「子どもを生きればおとなになれる」シリーズ⑩「痛みに対する行動上の反応」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/20/120000


「子どもを生きればおとなになれる」シリーズ⑪「痛みに対する行動上の反応」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/23/120000


「子どもを生きればおとなになれる」シリーズ⑫

「自由への4つのステップ」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/27/120000


「子どもを生きればおとなになれる」シリーズ⑬

「インナーアダルトを育てる」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/03/120000


「子どもを生きればおとなになれる」シリーズ⑭

核となる5つの力 ①自分を認める力

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/06/120000


「子どもを生きればおとなになれる」シリーズ⑮

核となる5つの力 ②コントロールをある程度手放す

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/10/120000


「子どもを生きればおとなになれる」シリーズ⑯

「核となる5つの力 ③感情を感じる力」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/13/120000


「子どもを生きればおとなになれる」シリーズ⑰

「核となる5つの力 ④ニーズを見分ける力」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/17/120000


「子どもを生きればおとなになれる」シリーズ⑱

「核となる5つの力  限界と境界を設定する力」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/20/120000


「子どもを生きればおとなになれる」シリーズ⑲

「自分を幸せにできる人になる」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/24/120000


「子どもを生きればおとなになれる」シリーズ⑳

「秘密はいらない、役割はいらない」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/27/120000


「子どもを生きればおとなになれる」シリーズ21

「秘密はいらない、役割はいらない~秘密の起源」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/10/01/120000


「子どもを生きればおとなになれる」シリーズ22

秘密はいらない、役割はいらない 

影の中から踏み出す、自己否定感から踏み出す」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/10/04/120000


「子どもを生きればおとなになれる」シリーズ23

「役割に気づく」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/10/08/120000


「子どもを生きればおとなになれる」シリーズ24

「役割に縛りつけていた信念」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/10/11/120000


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「考える人とおめでたい人はどちらが幸せか」

シリーズ①「考えることを楽しめ!」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/09/120000


「考える人とおめでたい人はどちらが幸せか」

シリーズ②「どうして学校に行かなければならないのか」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/12/120000


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「世界最高の教室」シリーズ①

「生きる力をつける」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/28/120000

 

 「世界最高の教室」シリーズ②

「問題解決型学習」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/02/120000


 「世界最高の教室」シリーズ③

「自己主導性」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/05/120000

 

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「新・子どもの虐待」

 

シリーズ①「子どもの虐待対応フレームワーク」について

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/04/120000



シリーズ②「エンパワメントとレジリアンシー」についてhttps://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/07/120000



シリーズ③「子ども観と子ども像」について

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/11/120000



シリーズ④「体罰の六つの問題」について

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/14/120000



シリーズ⑤「怒りの仮面」について

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/18/120000



シリーズ⑥「性的虐待の深刻さ」について

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/21/120000



シリーズ⑦「DVが及ぼす影響」について

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/25/120000

 

 

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〇エンパワーチャンネル1/2

「社会的養護の当事者が語る 前編 伊藤 楓」

https://youtu.be/0wA-6n-uDy0

 


〇エンパワーチャンネル2/2

「社会的養護の当事者が語る 後編 伊藤 楓」

→ https://youtu.be/KTi7y8lQx8Y



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