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皆様こんにちは😊楓です。
「子どもへの性的虐待」
著者 森田 ゆり
⚠️ 子どもの性的虐待について解説しています。
ここから先は、自己判断にて読みすすめて
ください。よろしくお願いいたします。
シリーズ④では「子どもにあたえる長期的影響」
についてまとめています。
今回のシリーズ⑤では、
「沈黙の共謀」
についてまとめています。
こちらの本はシリーズですすめていきます。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
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▫️性的虐待の要因
・沈黙の共謀
なぜ子どもの性的虐待が起きるのか。
この素朴な疑問に対する答えは
単純ではない。
一つの性的虐待ケースには
さまざまな要因が重なっている。
個人、家族の持つ要因の背後には、
文化的・社会的要因が影響を及ぼしている。
一つのケースに関わる際には、
総合的な視点を持っていることが
大切である。
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性的虐待がしばしば深刻にして
長期的なダメージを被害者にあたえる
最大の理由は、そこにまつわる
秘め事=沈黙の匂いである。
「誰にも言うなよ」と加害者が強いる
沈黙、被害者が守ろうとする沈黙。
そして被害者が語れない環境を温存
している社会全体が培養する沈黙。
たとえ思い切って子どもが訴えても
「あの人がそんなことをするはずない」
と信じてもらえず、
「犬にかまれたと思って忘れなさい」
とたいしたことではないとみなされ、
さらには「あんたが誘ったんじゃないの?」
と逆に罪の責任を着せられてしまう。
「言ったら怒られる」
多くの被害を受けた子どもたちが
そう思っていたことだろう。
━━━━━━━━━━━━━━━p32
実際に、子どものころは私もそう思って
いました。
我慢していればやり過ごせる。
沈黙を守れば安全だ。
恥は隠し通そう。
加害者やまわりの人たちの
言われるであろう言葉を子どもは
日常生活の中で学習しているのです。
「子どもは理解なんてしていない」
「子どもには分からないこと」
と、思い込み決めつけているのは、
いつもおとな達なのです。
子どもは、大人の言動を細やかに
感じとっています。
たとえ、言語化出来なくとも理解
しているのです。
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加害者から怒られるだけでなく、
親から、教師から、子どもを守って
くれるはずの人からも怒られると。
だから、子どもは黙ってしまう。
子どもが黙っている限り加害者は
安泰だ。
まわりの大人たちは何もなかったと
装って、幸福な家族を、安全な学校を
演じ続けることができる。
━━━━━━━━━━━━━━━p33
▫️子どもへの性的虐待が深刻な社会問題
であることを世に問うたパイオニアの一人、
サンドラ・バトラーは1978年に
「沈黙の共謀」を出版して、
<加害者が強いる沈黙>―
<被害者が守る沈黙>―
<社会が培養する沈黙>
この三者の沈黙ががっちりと結束した
「沈黙の共謀」こそが、性的虐待の
発生要因であることを明らかにした。
"ならば、性的虐待問題に取り組む
第一歩は、この沈黙の共謀を
崩していくことである。"
さらに、1980年にはフローレンス・ラッシュ
が、「秘密にしておくのが一番/子どもの性的虐待」を、
81年にはジュディス・L・ハーマンが
「父―娘 近親相姦―家族の闇を照らす」
を出版して、性差別社会の奥に沈む犯罪と
して性的虐待がいかに広範囲に起きて
いるか、その被害者の声が家父長制の
特権を持つ人々によってどのように
沈黙させられてきたかを告発してきた
女性たちの10年の運動を代弁した。
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「わたしたちが遭遇したのは窒息するほど
膨大な量の否認や合理化や言い逃れで
あり、それらが文学や社会科学、医学、
法学などの権威ある知見としてまかり
通っていた。
性暴力などは実際にはほとんど起きて
いないのに子どもの過剰な空想のなかで
だけ大流行している、というのが
当時の一般的な考え方だった。しかし、
この考えは謝りであることがわかった」
(ジュディス・L・ハーマン前傾書)
この研究分野の記念碑ともなる
性的虐待の発生統計調査を行い、
もはやそれを子どもの過剰な空想として
無視することなどできない学問的基盤を
築いた。
(社会学的数量調査方法として、正確な
結果を期待し得る最高の基準を満たした
方法を用いいた。)
続いて、ゲイル・ワイアットが、
ラッセルの方法論と同じ高い基準を
満たしたコミュニティ標本調査を行った。
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こうしたパイオニアによる努力を
皮切りに、欧米では、大規模な調査や
地域別の調査が数多く行われ、子どもへの
性的虐待が膨大な数で行われていることが、
もはや看過できない事実であると
明らかになっていった。
80年代の後半からは、男子への
性的虐待も相当な数で起きている
ことがいくつもの調査からつきとめ
られていった。
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「3~4人に一人の女子、6人に一人の男子
が性的虐待を受けている」
と、引用されることがおおい。
ここで、わたしたち大人が注意せねば
ならないのが、大人から子どもへの
性的虐待も信じられない程の
多くの被害があるが、
子ども間での性暴力の
多さも忘れてはならない。
学校内、塾や習い事、公園や
児童福祉施設内、などでは
大人から子どもへ
子どもから子どもへ
性的暴力が存在している事実がある。
日本は、子どもへの性的虐待や性的暴力に
関する調査は、ほぼほぼされてこなかった。
欧米では、70年代後半から既に動き始め、結果、法整備も行われて来た。
日本はというと、2021年の現在も放置した
ままである。
あたかも、日本では、子どもへの性的虐待、性暴力は、極々一部の特異な例であるかのような扱いだ。
シリーズ①でも書きましたが、
性的虐待は、家庭の外で起きていることが
多いのにも関わらず、児童虐待防止法の
第二条の「保護者と、同居人」に限定して
いる部分と、第三条での「何人も、
児童に対し、虐待をしてはならない」という
矛盾は解消すべきだと私も思います。
日本国内での社会問題である、子どもへの
性的虐待、様々な虐待の調査を大規模な
調査と共に、地域別の調査が数多く
行われることで、様々なSOS窓口の対応、
福祉の対応改善にも繋がると思うのです。
私たちの被害を「なかったこと」に
してきたのは、社会の問題です。
隠蔽し、被害者を黙らせる社会ではなく、
誰もが、相談でき、解決へ向け動いていく
社会を目指すことが、平和な社会への
第一歩ではないでしょうか。
「子どもへの性的虐待」シリーズ④を
読んでくださり、ありがとうございます。
次回のシリーズ⑤では、
「加害の四つの前提条件」
についてまとめています。
❁✿✾担当:伊藤 楓
毎週、月曜日と金曜日。月に計8回で更新しています ✾✿❁︎
※ この本は、シリーズでお伝えしていきます。
-----------------------------٭•。❁。.*・゚ .
心の応急手当の具体的な方法は
聴くことだ。
何があったのか事実関係を「尋ねる」
のではなく、なんとなく「聞く」のでなく、
あなたの耳と心を、もって、
「相手の十四の心」を聴くことである。
「聴く」ことはあなたが子どもと
その家族にあげることのできる
最大の贈り物である。
森田 ゆり
―――
様々な本に出逢える幸せと
この記事を読んで下さる皆様へ感謝致します。
楓
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【伊藤 楓:前回ご紹介した本】
「子どもの性的虐待」シリーズ①
「性的虐待の基礎知識」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/11/08/120000
「子どもの性的虐待」シリーズ②
「加害者はどんな人物か」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/11/12/120000
「子どもへの性的虐待」シリーズ③
「被害を受けた子どもの心理」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/11/15/120000
「子どもへの虐待」シリーズ④
「子どもにあたえる長期的影響」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/11/19/120000
―――
「真のダイバーシティをめざして」
〈特権に無自覚なマジョリティのための
社会的公正教育〉
シリーズ①
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/11/01/120000
「真のダイバーシティをめざして」
〈特権に無自覚なマジョリティのための
社会的公正教育〉
シリーズ②
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/11/05/120000
―――
「子どもを生きればおとなになれる」シリーズ①
「何を喪失したのか分からない」
→ https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/16/120000
「子どもを生きればおとなになれる」シリーズ②
子どもが「見捨てられる」
→ https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/19/120000
「子どもを生きればおとなになれる」シリーズ③「境界の混乱」
→ https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/23/120000
「子どもを生きればおとなになれる」シリーズ④「喪失が与える影響」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/26/120000
「子どもを生きればおとなになれる」シリーズ⑤「現在の痛みのサイクルに気づく」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/26/120000
「子どもを生きればおとなになれる」シリーズ⑥「痛みに対する感情の反応」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/06/120000
「子どもを生きればおとなになれる」シリーズ⑦「痛みに対する感情の反応【激怒】」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/09/120000
「子どもを生きればおとなになれる」シリーズ⑧「痛みに対する感情の反応【うつ】」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/13/120000
「子どもを生きればおとなになれる」シリーズ⑨「痛みに対する感情の反応【うつの急性症状】」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/16/120000
「子どもを生きればおとなになれる」シリーズ⑩「痛みに対する行動上の反応」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/20/120000
「子どもを生きればおとなになれる」シリーズ⑪「痛みに対する行動上の反応」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/23/120000
「子どもを生きればおとなになれる」シリーズ⑫
「自由への4つのステップ」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/27/120000
「子どもを生きればおとなになれる」シリーズ⑬
「インナーアダルトを育てる」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/03/120000
「子どもを生きればおとなになれる」シリーズ⑭
「核となる5つの力 ①自分を認める力」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/06/120000
「子どもを生きればおとなになれる」シリーズ⑮
「核となる5つの力 ②コントロールをある程度手放す」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/10/120000
「子どもを生きればおとなになれる」シリーズ⑯
「核となる5つの力 ③感情を感じる力」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/13/120000
「子どもを生きればおとなになれる」シリーズ⑰
「核となる5つの力 ④ニーズを見分ける力」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/17/120000
「子どもを生きればおとなになれる」シリーズ⑱
「核となる5つの力 ⑤ 限界と境界を設定する力」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/20/120000
「子どもを生きればおとなになれる」シリーズ⑲
「自分を幸せにできる人になる」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/24/120000
「子どもを生きればおとなになれる」シリーズ⑳
「秘密はいらない、役割はいらない」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/27/120000
「子どもを生きればおとなになれる」シリーズ21
「秘密はいらない、役割はいらない~秘密の起源」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/10/01/120000
「子どもを生きればおとなになれる」シリーズ22
「秘密はいらない、役割はいらない ~
影の中から踏み出す、自己否定感から踏み出す」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/10/04/120000
「子どもを生きればおとなになれる」シリーズ23
「役割に気づく」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/10/08/120000
「子どもを生きればおとなになれる」シリーズ24
「役割に縛りつけていた信念」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/10/11/120000
「子どもを生きればおとなになれる」シリーズ25
「新しい関係をつくる」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/10/15/120000
「子どもを生きればおとなになれる」シリーズ26
「家族にあなたの痛みを話したいなら」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/10/18/120000
「子どもを生きればおとなになれる」シリーズ27
「直面化して痛みの原因を終わらせる」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/10/22/120000
「子どもを生きればおとなになれる」シリーズ28 最終章
「自分を許す、他人を許す」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/10/25/164200
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「考える人とおめでたい人はどちらが幸せか」
シリーズ①「考えることを楽しめ!」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/09/120000
「考える人とおめでたい人はどちらが幸せか」
シリーズ②「どうして学校に行かなければならないのか」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/12/120000
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「世界最高の教室」シリーズ①
「生きる力をつける」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/28/120000
「世界最高の教室」シリーズ②
「問題解決型学習」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/02/120000
「世界最高の教室」シリーズ③
「自己主導性」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/05/120000
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「新・子どもの虐待」
シリーズ①「子どもの虐待対応フレームワーク」について
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/04/120000
シリーズ②「エンパワメントとレジリアンシー」について→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/07/120000
シリーズ③「子ども観と子ども像」について
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/11/120000
シリーズ④「体罰の六つの問題」について
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/14/120000
シリーズ⑤「怒りの仮面」について
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/18/120000
シリーズ⑥「性的虐待の深刻さ」について
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/21/120000
シリーズ⑦「DVが及ぼす影響」について
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/25/120000
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〇エンパワーチャンネル1/2
「社会的養護の当事者が語る 前編 伊藤 楓」
〇エンパワーチャンネル2/2
「社会的養護の当事者が語る 後編 伊藤 楓」
→ https://youtu.be/KTi7y8lQx8Y
〇エンパワーチャンネル→https://youtube.com/channel/UCifhmLrFFzWMz5Eq8mr-hTA
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