「ファミリーシークレット」~傷ついた魂のための家族学
(ジョン・ブラッド・ショー著 香咲弥須子訳)より
人は秘密を、出来事や事実を隠すものとしてとらえているようだが、
私の経験によると、
ほとんどの問題のある家族が隠しているものは、考えや感情である。
家族のメンバーの誰かが、特に両親が、
彼らが感じていることを感じないようにふるまったとしたら、
それはおかしなことになるに違いない。
母親が怒っていたら、だれもがそれに気づく。
たとえ本人が怒っていないふりをしていても。
父親が、おばあちゃんに対していい感情を抱いていなかったら、
そのことに気づく人が多いかもしれない。
たとえ彼がその感情を表していなくでも。
こうした心理的な秘密は、
親密な家族のコミュニケーションをはかる上でたいへんな障害となる。
自分の感情を隠そうとするのは、
その感情に自分が傷つくのを恐れているからだが、
自分に恐れを抱いている限り、家族と健康で親密な絆を結ぶことはできない。
私が私自信の感情にすっかり浸っているとき、
私は真実の私であり、また無防備である。
他人から見ると、非常に傷つきやすく見えるはずだ。
私に近づきやすいと感じる人もいるだろう。
その時、私は自分を防御する壁を下ろしているからである。
両親が彼らの考えや感情を抑え、隠しているとき、
子どもたちは、それらを受け取り、
どこかに吐き出すか、あるいはうちに抱え持たなくてはいけない。
両親が目を背け、締め出した感情的な問題がなんであれ
子どもたちは必ずそれを受け継ぐものなのである。
『ファミリーシークレット』ジョンブラッドショー著 より