アコアのブログ

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福田和香子さんのスピーチ書き起こし



先の記事にも載せた動画スピーチの書き起こしをしました。
動画を見れない仲間たちとも分かち合いたくてたまらなくなり、思わず・・)

福田和香子さんに感謝します。 



こんにちは、福田わかこです。 

今から10年前の私の話、そして今の私、そして大切なフェミニズムについての話をします。もうちょっと疲れてきていると思うけど、最後、頑張って聴いてください。

10年前 クラスメイトのファッション雑誌によると 私は身長が160センチなので体重が45キロくらいもあるなら それは充分すぎるということが書かれていた。

春の検診で出された数字はそれより3キロ多かったけれど私はいたって健康だった。

私がランチタイムに取り出すお弁当箱は 周りの女の子たちみたいに やっぱりこじんまりしていてピンク色。プールの授業のある日の前日は やっぱりシャワーにいつもより時間がかかった。 10年前の話。
 
私は けして線の細くてかわいらしい女の子ではなかった。社会の提供する「可愛い」の枠に自然に入り込むことができなかった私。そんな私を救ってくださるかのように投げかけられた言葉 「安産型」の3文字。 まだ性の快楽も知らない たった14そこらの小娘に対して そんな小娘を形容する言葉「安産型」。10年前の話です。

少ししてから気が付いた。そっか この社会の示す女の子のとしてスタンダードに適応できなくても ちゃんと子供さえ産めていれば 私は女としての役割を果たしてるってことだよね。・・冗談じゃねーよな、そんなのな

身長160センチだけど体重45キロを優に超えてる私は社会に期待された女の子になりきれることのないまま 気が付けばヤングレディと呼ばれる年齢になっていた。
家父長制社会が生み出す矛盾に気がつき始めたころ「安産型」と形容され、それに対する違和感をうまく言語化することすらできなかったあの頃から10年ほど経った。

そして私はレイプされた。自分の叫びも からだの痛みも からだの震えも全部しっかり覚えている。壊れたしまったお気に入りだった金の時計も すぐそこにあるホテルの部屋のドアがはるか遠くにあるかのように見えていたことも私ぜんぶぜんぶ覚えている。

被害に遭った直後に言われたこと ’あんたがそんなカッコしてるからそう言うことが起こるんだよ’って。 その言葉は私を殺した。私はしばらく死んでいた。

そして私はこの国を離れる決意をした。
その時私が必要としている言葉を私はついに聞くことができなかった。

みんなと社会のスタンダードに合わせようと少しでも自分を近づけようと必死になっていた そんな10代の私が言う。「ああ、また失敗しちゃったね」って。

私はおそらく、そしてこれからもずっと、社会に求めるいい女になんかなれない。
だから私はまた今日もここに立つことを決めた。

自分が聞くことのできなかった言葉を、自分が受けることのなかった温かみを、どこかで必要としている そんな女たちに届けるために。
 

私の痛みはあなたの消費のためにあるわけではない。

私の選ぶ洋服はあなたへの招待状でもなければ許可証でもない。

私は棚に陳列された商品ではなく、笑顔を張り付けられた人形でもなく、自分を定義するということを覚えた私は お前の、お前みたいな奴の、一時的な欲求とシステムにコントロールされた物言いに負けることはない。

女というかたちの私に寄せられた社会からの期待と、女という私が自ら被ってしまうヴェールのような見栄えのいい薄っぺらい期待。

社会の期待はそんなにいっぺんに外すことはできない。

でも私は今からそのヴェールを脱ぐことができる。

病める時も、健やかなる時も、私は私のやりたいようにやりますから。 

いつだってどんなときだって私たちに呪いを振りまくことをやめない社会と、そこで気持ちよく呼吸を続ける自らの加害性に気づかない人たちへ、、もうそういうの、終わりにしましょう。

フェミニストは男ぎらいというわけでもないし、鉄の女って意味でもない。

安産型という問題はいまだに私の日常に、今度ははっきりと呪いの形をして現れる。

10年前に求められた「可愛い」に応えられなかったあの頃の私は、フェミニストというタイトルを選んだ私の中で 今もまだ生き続けている。 

どっちでもいいの、どっちだって殺さなくっていいの。
それが私のとらなければいけない第一歩だから。
 

私は私が誰であるか他の者に決めさせない。
私はあなたが何者であるか決めつけない。
私とあなたの幸せの定義はきっと一致しない。
私とあなたが美しいと思うものはもしかしたら全然違うのかもしれない。
 
怒りに蓋をし続けてきたあなたへ、
壁の割れ目からこぼれる光にすら目をそむけたくなってしまうあなたへ、
毎日が楽しくって仕方ないわというあなたへ、
ずっとずっと声をからして叫び続けてきたあなたへ、
自己を探求し続けるあなたへ、
そして生きづらさを抱えるあなたへ、
そして何よりも解放という名の可能性に心躍らせるすべての人へ。

あなたの考えは、あなたの言葉は、あなたの行動には 常にパワーがある。

何かを変えるだけのパワーがいつも備わっている。

必ず覚えておいてほしい。 

立ち上がること、言葉にすること、怒りを恐れないこと。 

自分とその未来のもつ可能性に目を背けないこと。

そしてそこにいない人について、いつも考え続けること。

あなたが自分の可能性に向き合うこと、それを諦めなければあなたは必ず呪いに打ち勝つことができる。


(ラストは英語でメッセージが語られました。のびのびして本当に芯の美しさが溢れていました。)


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