アコアのブログ

暴力あるいは暴力の影響を受けた女性たちの回復支援/当事者団体(福岡市) NPO法人アコアのブログ                        自助グループMTG /カタルシス瞑想会 / ARTプロジェクト/Dance WorkShop / 女性のための福祉サービス自立訓練(生活訓練)事業所「アミーガ」(藤崎)

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なぜ7歳のころの性被害を5年も言えなかったのか。広告と何の関係があるのか。

転載記事です。(ご本人に転載の了承を頂きました。丁寧に注意事項も書いて下さっています。)

なぜ7歳のころの性被害を5年も言えなかったのか。広告と何の関係があるのか。

://note.mu/fuemi/n/nc531a1163fa4

2019/04/06 00:32
    ※大切なあなた様。この文章はフラッシュバックの可能性があります。どうかご無理なさらないでください。
    広告業界のあなた様。できれば最後だけでも呼んでください。
    ※幼女が好きな方。幼女はこの世に存在しません。あなたと同じような人間がいるだけです。
    近所のおかし屋さんに
    はじめてつれてってくれたのは、
    お父さんとお母さんだった。
    古い木のガラス戸から
    外の光が差し込んでくるお店
    チョコやうまい棒やガムやら
    初めて10円や5円でおかしを買える。
    小学生の自分が1人でも行けるお店があること
    とてもうれしかった。

    お店にはおばちゃんがいて、
    ときどきおじちゃんもいた。

    夏休みは、トトロのビデオで見た
    黄色い箱のキャラメルを買った。
    遠足のときはおやつを買った。
    妹と一緒にかき氷を買いに行ったのも
    そのお店だった。

    ある日公園から歩いて帰ってた時に
    めずらしく、おじちゃんが声をかけてくれた
    「だいじょうぶ?元気がないよ。
    好きなお菓子をあげるよ。」
    で、お菓子を選んだんだよね。
    「なんでもいいの?」
    「なんでもいいよ。」
    200円のお菓子とかもあった。
    でもなんとなく遠慮して30円のお菓子にした。
    「ほんとにこれでいいの?」
    「うん。」
    お店のカウンター横の椅子で
    おじちゃんは私を膝に乗せてくれた。
    私はあんまり親に抱っこされる
    年頃じゃなかったから、
    赤ちゃんに戻ったみたいな気がした。

    おじちゃんは
    「服がずんだれてる」と言って、
    シャツをズボンに入れてくれた。

    そうしながら、
    なぜか私の胸を触ったんだよね。
    なんどもなんども。
    なんどもなんども。
    なんどもなんども。
    「なんで胸をさわるんだろう?
    へんだな。まあいいか。」
    おじちゃんは私のシャツを
    ズボンに入れてくれた
    なんどもなんども。
    なんどもなんども。
    あれ?なんども?
    えっ?そんなに何回もする意味ある?
    パンツの奥に手を入れてきた
    なんどもなんども
    なんどもなんども。
    なんどもなんども。
    なんどもなんども。
    パンツの中をわさわさする
    おじさんのかわいた手。
    私は動けなかった。
    何も言わなかった。
    おじちゃん何がしたいんだ?
    そこには何もないよ。
    ずんだれてないよおじさん。

    ずっと店の前を行き交う
    車を見ていた。
    楽しくない。帰りたい。
    長い奇妙な時間。

    「店の奥の部屋に来てくれたら、
    もっとお菓子をあげるよ。」


    そのとき
    お母さんが言ったことを
    ぼんやり思い出した。
    「知らない人について行っちゃいけないよ。
    お母さんが病気だとか
    道に迷ってるって言われるんだよ。
    お菓子を買ってあげるって言われても
    それは嘘だから。」
    でもおじちゃんは
    知らない人じゃなかったから、
    大丈夫だとおもったんだよ。
    「もう帰ります」
    お菓子をもらってうれしいです
    という顔をした。
    私はあまりきげんがわるそうには
    見せたくなかった。
    もしきげんがわるそうな顔をしたら
    何かが起こる気がしたから。
    とぼとぼ歩いて家にかえった。
    なぜかわからないけど
    自分はバカだなとおもった。
    (おじちゃんではなく自分がね。)
    もらったお菓子は汚く見えて、
    食べようと思わなかった。
    そしてまた別の日にお店に行った。
    おじちゃんはいなくて
    おばちゃんが笑ってくれた。
    なぜかおばちゃんに申し訳ないと感じた。

    お菓子屋さんの前はよく通った。
    でももう入ることは無かった。
    おばちゃんとたまに目が合ったけど
    なんとなく気まずくて入らなくなった。
    それから5年くらい経って
    生理がはじまったときに、
    お母さんが性的な変質者に気をつけるように
    言ったんだよね。 
    私もしかしたら、それ、されたかも。」
    って言ったの。
    「え?だれに?」
    「お菓子屋さんのおじちゃん。」
    「他になにかされてない?」
    「さわられただけだよ。変だなと思ったよ。」
    「それ誰かに言った?」
    「誰にも言ってないよ。
    でも他の人に言わないで。」
    私はなぜか、おばちゃんにだけは迷惑をかけたくなかった。
    おじちゃんとおばちゃんは、
    別の人間なのに。 
    だから言わないでほしいと言ったし、
    さわられただけで平気だと言った。
    私が言わなかった5年の間
    おじちゃんは他の子に同じことをしていなかっただろうか。
    もっとひどいことをしていなかっただろうか。
    そのお店は、
    どんどん商品も減っていった。
    今ではシャッターが下りている。

    なんで5年もそれを言えなかったのか。
    それは自分が性的なことを
    されている自覚がなかったから。

    そして7歳にして、社会的立場の強そうなおじさんに対して、忖度したからだと思う。
    私には「自分がおじさんより大切にすべき人間なんだ」という自尊心がなかった。

    私はおじさんを優先させてて、
    自分は切り捨てていい存在だと思った。
    そして性犯罪者を野放しにしてしまった。
    きっと私のような経験をした人は、そこらじゅうにいると思う。
    日本女性は、自尊心をもつようには
    育てられていない。
    かわいくてお淑やかにして、料理や子守など、
    女の子としての役割を
    上手にできるように育てられる。
    枠からはみ出すと、顔をしかめられる。
    男性に踏み台にされることに、なんの疑問も持たないように育てられる。
    自尊心が低い状態で性被害にあって、
    「仕方がなかったんだよ。」
    「辛いけど黙っていようね。」
    と言われる。
    その空気を感じとって、
    自分からそう思ってしまう。
    もしも「あなたは悪くないよ。」
    「おじさんは許されないことをした。」
    と言ってもらえていたら、
    私は自分のことを、おじさんと同じだけ
    尊重されるべき人間だと思えただろう。
    いま裁判で性犯罪者が
    ことごとく無罪にされている。
    被害にあった人たちの気持ちは分からないが、
    私なら自尊心も社会への信頼感も
    地に堕ちると思う。
    道を歩いていて
    暴走車に突っ込んでこられた被害者に、
    「同意していた」
    「被害者にも非があった」
    「なぜ声を出さなかったのか」
    「抵抗していなかった」
    という人はいないだろう。
    交通犯罪を起こさないように、
    私たちは大金を払って教習所に通って、
    定期的に免許の更新までしている。
    性犯罪には教習所すらもない。
    司法で裁かれもしない。
    これが差別じゃなくて、何なんだろう。

    ひとりの人間として扱っていないのに、
    家事も仕事もと、ひとりの人間以上の活躍を
    押し付けようとするな。
    日本の女性はめちゃくちゃ頑張っているけど、
    さすがにもう限界だ。
    広告業界で働いている人へ。
    あなたの隣でニコニコ、ヘラヘラ
    している同僚も、
    私と同じように、
    過去に自分を切り捨ててきた人かもしれない。
    性犯罪だけでなく、私生活でも、仕事でも、
    女性が自分を切り捨てている世界は、
    あなたの隣にもたしかに存在するよ。
    今日もあなたという男性に対して、
    女性が自分を切り捨てているかもしれない。
    私たちの作っている広告は、
    女性に一方的な犠牲や
    男性に品定めされる存在であること
    を強いていないだろうか。
    女性の直面する社会的課題を
    見なかったことにして、
    努力が足りないと
    上から目線で言っていないだろうか。
    男性の性欲(という名目の支配欲)を
    無邪気でかわいらしいものとして、
    肯定していないだろうか。
    時代に敏感な広告業の人にこそ、
    いちはやく気づいていただきたい。

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