「これが私の真実なんだ ~麻薬に関わった人たちのエンカウンターグループ~」の感想
自分のこころや感情を解放することに対する怖れ、エンカウンターグループ自体やグループ内の人達を、こころの底の部分から信頼できていない不安がグループの多くを覆っていた感じが、始めの方の印象でした。それが話が進んでいくにつれて、怖れや不安というグループに覆われていた雲が徐々に消えて行く。話の流れのタイミングやポイント毎に、一人、また一人と自分の気持ちの部分を表現していく。ごく自然な流れとして。
全体の意識が大きな渦を巻きながら、ゆっくりとうねりを帯びながら上がっていっている。そんな印象を持ちました。グループのメンバー同士がどなり合ったりする場面もありましたが、それもうねりの一部だということがファシリテーターもわかっているから、止めなかったのかもしれないと思いました。
すごく驚いたことは、ファシリテーターであるカールがほとんど発言していないこと。それなのにどうして全体としていい方向へ向かうのか?今でもとても不思議な感じがします。これこそが、カールの提唱する「スピリチュアリティ」と呼ばれるものなのかわかりませんが、グループが一体感を持ち始めている感じがとても伝わって来ました。映像を見れれば、もっとその時の雰囲気が伝わってくるだろうと思いました。また映像として残っているより以前のエンカウンターグループのやりとりも気になるところです。
また、グループ内の相手に対する理解がより深まることで、より信頼感や親密感が増していったように感じました。こういう場面というのは、大人の日常ではほとんど経験することがないと思います。(子どもの頃や思春期に部活のようなものに入り、ぶつかりあって友情を深めていく場合はあったりするのでしょうが。)
自助グループは、エンカウンターグループに似ているのかもしれません。自助グループにも何回か参加したことがありますが、このエンカウンターグループのような神秘的な体験をするようなことはありませんでした。エンカウンターグループにしろ、自助グループにしろ、このような神秘的な体験に出くわすというのは、そう頻繁に起こるものではないのかもしれない。そう感じました。僕もいつかこのような神秘的な体験をしてみたいと思わずにはおれませんでした。
この本に出逢えたことをこころから感謝します。ありがとうございました。
kちゃん