今日からスタートしたオンライン勉強会、第一回目の「境界線」が終わりました。
時間をとってご参加くださった皆様、ありがとうございました。
自助グループ的なシェアの時間を大切にしながら、私の説明が少し膨らんでしまい
予定時間いっぱいまでかかりました。長時間お疲れさまでした。貴重な気づきや言葉を共有いただき、感謝いたします。
今回もNPO法人レジリエンスさんのテキストを主軸にしたうえで、アコアやアミーガの読み合わせグループで利用しているクラウディア・ブラックの著書『子供を生きれば大人になれる』の第4章インナーアダルトを育てる~「限界と境界を設定する力」の抜粋資料も共有しました。
(以下、転載)
4章 インナーアダルトを育てる P157 【限界と境界を設定する力】 より
自分のニーズを満たすためには、限界と境界を設定することが必要になります。…境界とは、あなたを他の人から独立した存在として区別するためのラインです。私たちは一人一人、皮膚によって区切られていますが、それだけではなく、どこまでが心理的身体的に安全な領域か、というラインがあります。
≪さまざまな種類の境界への侵害と、健康な境界のあり方≫
●情緒の境界がおかされた状態 |
◎健康な境界が守られた状態 |
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感情を否定される 人格を非難される 恐怖を与えられる |
ありのまま感じることを祝福される 安全を感じられる |
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●スピリチュアルな境界がおかされた状態 |
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自分を曲げて人に迎合させられる |
自分にとって大切なことを守れる |
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●性的な境界がおかされた状態 |
◎健康な境界が守られた状態 |
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男/女として生まれたのを喜ばれない |
男/女として生まれたことを祝福される |
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●人間関係の境界がおかされた状態 |
◎健康な境界が守られた状態 |
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他人の要求に応じなければならない |
いつでも要求に応じる必要はない |
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●知的な境界がおかされた状態 |
◎健康な境界が守られた状態 |
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情報を与えられない |
情報を与えられ自分で判断できる |
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●身体の境界がおかされた状態 |
◎健康な境界が守られた状態 |
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健康維持の方法を教えられない |
健康な日常生活の方法を学べる 望まないときはさわられるのを拒否できる |
境界は、私たちが何を望み、何を望まないかという宣言でもあります。 そして他人が私たちに何をしてもよくて、何をすることはゆるさないかという線引きの役目もします。 子どもだった頃、あなたは境界の侵入から自分を守る術(すべ)を持っていませんでした。 侵入を受け―つまり利用され、虐待され、暴力にさらされ ―自分には価値がないし、人間ではなく―誰かの所有物のように扱われていると感じたかもしれません。きちんと主張できない自分がいけないんだとか、弱虫なんだと思いこんだかもしれません。けれど今、おとなになったあなたは、境界をつくって補強することができるし、それは内面的な強さを与えてくれます。健康な境界を確立するための準備として、これまで受けてきたのを振り返っておくことが役立ちます。
不健康な境界に気づくことは、より健康な自分になるため境界を見直すのに役立ちます。
そして限界は、境界を守るための具体的なスキルです。 たとえば人間関の境界を守るためには、特定の相手に対してどれだけの時間とエネルギーを使うか限界を決めることが役立ちます。
境界は、私たちの生活に秩序をもたらしてくれます。 境界があってこそ自分のニーズを満たせるし、これ以上、自己否定感を心にとりこまずにすむようになります。 境界を確立するは、さらに別の課題にも気づかせてくれるでしょう。それは「ノー」と「イエス」を使い分ける力です。多くの人にとって、子ども時代にノーと言うことは安全ではありませんでした。 自由にノーと言うことが許されない状況では、イエスは非常な恐れと無力感をともなうものであったり、あるいは承認され愛されるための必死の努力でした。
中には、ノーという言葉がイエスの意味だとみなされる家庭で育った人もいて、そんな場合、おとなになっても周囲の人のノーに耳を貸すことができません。問題を抱えた家庭では、ノーとイエスの使われ方をめぐって、しばしば苦痛と混乱が生じていました。その痛みに気づくことが必要です。
これまであなたが何度も何度も、ノーと言いたいのに言えなかった(そのたびに怖れからイエスと言っていた)ことや、それにともなう怒りと痛みを、繰り返し語ってください。
相手にノーと言ってもらうことが必要だったのに、あなたが聞いたのはイエスだったという体験がどれぐらいあったかも確認しておく必要があります。たとえば、自分や相手を傷つけるような行動をきちんと指摘してほしかったのに、何も言ってもらえなかったことなどです。
回復の中で、あなたはノーという言葉が自分を守る仲間となってくれることに気づくでしょう。それはあなたに選択肢を与えてくれるのです。 ノーを使い慣れるにつれて、他人の境界も意識できるようになります。 私たちはみな、ノーとイエスを使い分ける力と権利を持っています。イエスという言葉が恐れや承認の必要性で口に出されるのではなく、自由にできる権利となることを私は願っています。 そして私たちがノーと口に出すとき、本当は自分自身に向かってイエスと肯定していることを願っています。
「子どもを生きれば大人になれる」―インナーアダルトの育て方-(アスク・ヒューマンケア)
著者:クラウディア・ブラックClaudia Black, Ph.D., M.S.W. アメリカのソーシャルワーカー 社会心理学博士。アダルト・チャイルド (AC)概念の生みの親。 家族システムとアディクション(依存症)についての第一人者で、ファミリー・セラピストとしての評価も高い。世代連鎖の問題に光をあてた名著『私は親のようにならない』はミリオンセラーになって7か国語に訳され、世界各国にACムーブメントを広げた。本書はその続編にあたり、豊富な臨床経験から独自の回復プログラムを提唱している。
過去10年以上、何十回と開催してきたこの境界線テーマ。
何十人(100人以上かも)の方と分ちあってきたテーマです。
昨夜のロータスアコア自助ミーティングでも
境界線をテーマにして最近の私の近況や心情をシェアさせてもらいましたが、ほんとうに何度でも学びなおす意義がある大事なテーマだと思います。
ブラックの言葉にあるように、私たちがノーと口に出すとき、本当は自分自身に向かってイエスと肯定していることを、意識していきたいです。DVや虐待がなくなる、あるいは予防のためにも、まずは身近に関わる人との間で起きる出来事から学べる大人(相手に絡み取られるのではなく)自分自身の境界と限界の設定について意識的に取り組む大人が増えてほしいし、私自身もずっと実践していきたい。一人でも多くの方に伝えていきたい、と強く思うようになっています。
次回の勉強会テーマは「感情」です。
境界と限界を設定するにあたり必要となる自分のニーズをつかむためも、感情に関する理解は重要です。いかに私たちが自分の感情に恐れを抱いているのか・・。自分の感情と親しくなれるように、みんなで学んでいきます。
次回4/1(土)10時半~単発参加も可能です。ご都合会う方はご連絡ください。
資料送付等の準備がありますので3/30(木)迄にお申込み頂けると助かります。