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こんにちは、くまたんです。
今回もジュディス・ヒューマンさんの
「わたしが人間であるために」を
ご紹介させて頂きます。
よろしくお願いします。
「 わたしが人間であるために 」〜シリーズ23
第二部 一九七七年 バークレー・カリフォルニア
第八章 ホワイトハウス その3
◯前回のあらすじ
カーター大統領の国内政策主幹のスチュアート・E・アイゼンスタットと面会することに成功したジュディたち。
カーター大統領との面談はかなわなかったが、アイゼンスタットから政権が動くときだという考えを明らかにさせることに成功する。
しかしここにきて、代表団メンバーたちの一部はまだ施行規則に署名がされていないにもかかわらず、目標を達成したかのように感じ始めていた。
みんな本音の部分は疲れ果てており、帰りたがっていたのだ。
「あと少しというところまできたのに、どうして今やめてしまうの?」ジュディはメンバーたちに問いかける。
最終的にはデモ隊のみんなに決を取ることにし、これまでの路線を貫くこととなる。
未だに無視し続けるカリフォノに対して、怒りをあらわにするジュディたちは、カリフォノに直接会いにいくことを決めるが門前払いをうけるのであった。
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すぐにこの件について取材が入り、著者は真実を伝えた。
カリフォノ長官は「傲慢で、頑固で、まったくもって非人道的」だと記者に伝えた。
「施行規則は私たちにとって命も同然です。でも、カリフォノは私たちと面会することすら拒んでいます」
これに対し、カリフォノの報道官は著者たちの批判は不正確だと反論してきた。
四月二十二日金曜日、抗議活動を始めて十八日目だった。
四日後の火曜日に、ホワイトハウスの前でデモ行進をすることを決めた。
準備と調整には大変な労力を要したが、著者が心配するところは別にあった。
それは東海岸と西海岸の運動家たちの関係がどんどん悪化していたのだ。
東海岸の人たちから反発が加熱し、著者たち西海岸側のやり方を好ましく思っていなかった。
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自分が信じるものがあるなら、自分の意見を伝えるために、あらゆることをしなければならない。
誰かがあなたのことを無視するとき、相手は意図的に力を誇示している。
相手は基本的にあなたが存在しないものとして振る舞う。そして、そう振る舞う理由は、それが可能だからだ。
それをしても、自分の身には何も起こらないと思っているからだ。
無視は人びとを沈黙させる。
無視することで、意図的に和解や妥協を回避する。
そして、自分は無視されても仕方がない存在だと感じさせることで、「自分は価値のない人間だ」という最も嫌な恐怖心を植え付けるのだ。
その結果、無視された側は、騒ぎを起こすか、黙殺される状況を受け入れるか、の二択に必然的に追い込まれてしまう。
もし、無視をする相手に対して立ち上がり、困らせるようなことをすれば、あなたは礼儀正しい言動の規範を破ったことになり、最終的にはもっと嫌な気分にさせられ、力をそがれ、おとしめられた気分にさせられるのがオチだ。
p213より
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これがまさにカリフォノが著者たちにしていることであり、事実、著者たち全員がダメージを受けていたのである。
土曜の夜に著者たちはカリフォノの自宅に行った。しかし、抗議集会は無視され、裏口からカリフォノは家を離れたようであった。
著者たちはカリフォノを攻撃するため
「裏口からの脱出」というフレーズを使うことにした。
これは、カーター大統領のスローガンである「開かれた(オープン・ドア)政権」を逆手にとり、著者たちと話し合うか、裏口から逃げるのか、どちらかを選ばざるを得ない状況にカリフォノを追い込むためである。
メディアにもこの点を伝えておいた。
日曜の朝、著者たちはカーター大統領が通っている第一バプティスト教会の前にピケを張った。
カーター大統領と夫人は入るときにちらっとこちらを見たが、そのあと、裏口から出て行ったようだった。
このことに対してある記者は
「教会の中では、カーター大統領が聖書クラスを開いていました。その後、牧師は説教の中で「周囲が貧困にあえぐなか、私たちだけ居心地よく暮らすことなどできない」と述べました」
そのあと著者たちが出したプレスリリースには、「政権の新たな裏口政策によって、私たちは妨害されたままだ」と書いた。
火曜日、ホワイトハウス前でのデモ決行日は、雲一つない快晴だった。
著者たちが出した告知文には、五ページにわたる賛同文が添付されていた。
知事、市長、下院議員七名からの支持も含まれていた。
全米の仲間たちが各地で再び勢いのあるデモ行進を行なっていた。
ダラスとヒューストン。コネチカット州ハートフォード。オレゴン州ユージーン。ミズーリ州カンザスシティ。
そして、サンフランシスコとロサンゼルスだ。
著者がデモのオープニングで話し、続いて、有力なスピーカーたちが次々と話をした。
これが、みんなで行った最後の壮大な集会になった。
その日の夜、著者たち主要メンバー六人を残して代表団の大半を本拠地サンフランシスコに戻すことに決めた。
翌日、カリフォノが全国記者クラブで話す予定を掴んでいたので、そこで話をするべく、とにかく行ってみることにした。
著者たちDC残留組は諦めていなかったのだ。
全国記者クラブでは著者たちは建物に入れてもらえなかった。
ただ、エヴァン・ホワイトは記者の身分証明書を持っていたので追い出すことができずに会場に入ることができた。
いくつか質問しようと試みたが、カリフォノがエヴァンを指すことはなかった。
そのため、エヴァンとカメラマンはホワイトハウスのプロトコルを破り、部屋を出るカリフォノを追いかけて質問をした。
「五〇四条項の検討状況はどうなっていますか? 起草が終わり次第、あなたは署名しますか?」
カリフォノは返答を拒んだが、カメラはその一部始終を撮っていた。
エヴァンはテレビのニュースでこのできごとを報道し、「カリフォノはまた裏口から逃げ出した」と付け加えた。
このことがあってから、カリフォノが施行規則に署名するのは間違いないと全員が確信した。
ただし、「著者以外の全員」だ。
著者自身もカリフォノがもうすぐ署名するだろうとは思っていたが、それでも、署名されていないものは、署名されていないのだ。
今までのこともあり、カリフォノが再び時間稼ぎをする可能性も捨てきれなかったのである。
だから、DC残留組もサンフランシスコの連邦政府ビルに戻ることを決めたその日、著者とパット・ライトは一緒にDCに残ることにした。
翌日、著者がパットとキャピトル・ヒル地区にあるバーに座り、ニュースを見ながら次に何をすべきか話していると、画面にレポーターが現れた。
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そのレポーターは、ジョセフ・カリフォノHEW長官が、フォード政権時代に起草された内容のまま一九七三年リハビリテーション法五〇四条項の施行規則に署名をしたと伝えた。
四月二十八日木曜日
立てこもり二十四日目のことだった。
p218より
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パットとわたしはお互いを見つめた。
本当に? 信じられない。
でも、本当だった。
サンフランシスコ連邦政府ビルの四階はお祭り騒ぎだよ、と知らされた。
勝利の叫び、ハグ。
笑いがあり、そして最後に、涙があった。
涙の理由は、みんな建物を離れたくなかったからだった。
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立てこもりデモの参加者たちは、友だちになり、楽しみを分かち合い、恋に落ち、ありのままの自分でいられる自由を感じていた。
そして、その過程で、魔法のようなことが起きた。
建物というさなぎの中で、みんな変身したのだ。
p218より
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次回、第三部 一九八一年 バークレー・カリフォルニア
第九章 応酬
次回、第八章の最後のデモ隊たちの喜びを冒頭に書き、その後、五〇四条項の施行規則が署名されたあとの数年間の混沌とした新章がスタートします。
ブックサロンも今年の六月から担当し、今月で終了となります。
読んでくださった皆さま、ありがとうございます😊
残り5回となりますが、次回もよろしくお願いします。
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私は毎週、日曜と水曜を担当させて頂いております。
もし、今回の記事に対して何か感じる事がありましたら、ぜひ、皆さんの声もお聞かせ頂けたら幸いです。
最後までお読み頂きありがとうございました。
担当:くまたん
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過去記事のリンク
ぜひ、こちらも読んでみてください♪
シリーズ① 「チベットの生きる魔法」
"師からの助言"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/20/120000
シリーズ② 「チベットの生きる魔法」
"物事は悪くとってはいけないよ"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/23/120000
シリーズ③「チベットの生きる魔法」
"変化しないものなどない"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/27/120000
シリーズ④「チベットの生きる魔法」
"無我について"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/30/120000
シリーズ⑤「チベットの生きる魔法」
"苦、不満足について"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/04/120000
シリーズ⑥「チベットの生きる魔法」
"ただここにあることをまなぶ"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/07/120000
シリーズ⑦「チベットの生きる魔法」
"戦士のスローガン"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/11/120000
シリーズ⑧「チベットの生きる魔法」
"四つのかぎりない特性"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/14/120000
シリーズ⑨「チベットの生きる魔法」
"愛あふれる優しさ"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/18/120000
シリーズ⑩「チベットの生きる魔法」
"愛あふれる優しさ②"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/21/120000
シリーズ11「チベットの生きる魔法」
"思いやり"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/25/120000
シリーズ12「チベットの生きる魔法」
"トンレン"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/28/120000
シリーズ13「チベットの生きる魔法」
"心に響いた言葉"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/01/120000
シリーズ14「チベットの生きる魔法」完結
"偏見のない心で"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/04/120000
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シリーズ① 「死について41の答え」
"疑いを尊重する"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/08/120000
シリーズ② 「死について41の答え」
"疑いを信頼する"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/11/120000
シリーズ③ 「死について41の答え」
"信者ではなく探求者に"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/15/120000
シリーズ④ 「死について41の答え」
"人のことを考えるな"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/18/120000
シリーズ⑤ 「死について41の答え」
"この世から自由になる"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/22/120000
シリーズ⑥ 「死について41の答え」
"この世から自由になる②"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/25/120000
シリーズ⑦ 「死について41の答え」
"未知なるたび"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/01/120000
シリーズ⑧ 「死について41の答え」
"死は最後のタブー"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/05/120000
シリーズ⑨ 「死について41の答え」
"自分を犠牲にしない"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/08/120000
シリーズ⑩ 「死について41の答え」完結
"全世界を忘れる事だ!"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/12/120000
----------------------------------------
シリーズ① 「わたしが人間であるために」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/15/120000
シリーズ② 「わたしが人間であるために」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/19/120000
シリーズ③ 「わたしが人間であるために」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/22/120000
シリーズ④ 「わたしが人間であるために」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/26/120000
シリーズ⑤ 「わたしが人間であるために」
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シリーズ⑥ 「わたしが人間であるために」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/10/06/120000
シリーズ⑦ 「わたしが人間であるために」
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シリーズ⑧ 「わたしが人間であるために」
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シリーズ⑨ 「わたしが人間であるために」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/10/17/120000
シリーズ⑩ 「わたしが人間であるために」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/10/20/120000
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シリーズ12 「わたしが人間であるために」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/10/27/120000
シリーズ13 「わたしが人間であるために」
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シリーズ14 「わたしが人間であるために」
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