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こんにちは、くまたんです。
今回もジュディス・ヒューマンさんの
「わたしが人間であるために」を
ご紹介させて頂きます。
よろしくお願いします。
「 わたしが人間であるために 」〜シリーズ21
第二部 一九七七年 バークレー・カリフォルニア
第八章 ホワイトハウス その1
◯前回のあらすじ
「DCに代表団を送り込むのはどう?」
今のこの状況を打破するためには行動を起こさなければならなかった。
まさに今がその時だとジュディは動く。
しかし、全てのデモ隊の方々から合意を得る必要があったため、心を込めて語った。
のちに、デモ隊のひとりは「この女性についていかない人なんているの?」と、この時のことを回想していたようだが、実はこの時のジュディの心の中は違っていて、内心では自分たちがどこに進んでいるのかすらまったくわからなくなっていた。
みんなで、ひたすら話して、話して、話し合って、全てのデモ隊の方たちは素晴らしい形で賛同してくださった。
悩みは旅費や旅行に必要な物資などであったがそれらはジュディたちがしてきた活動が縁を引き寄せ、状況を一変させるような偶然が重なり、三十四名分の旅費をウィリーと機械工たちが集めてくれ、足りない医療や物資は市長のモスコーニが大統領にまでかけあって準備をしてくれた事でジュディを含めた代表団たちはホワイトハウスのあるワシントンへと飛び立つのであった。
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「ワシントンへようこそ!」
機内にやってきたウィリー・ディックスが言った。
等々、DCにやってきたジュディたち。
空港に出迎えにきてくれた機械工たち。
早速、ジュディたちはカリフォノの自宅に行くというアイデアをぶっこんでいく。
カリフォノの自宅は、実はキティの大おじ・大おばの家の真向かいで、彼らの息子であるキティの親戚とその妻子が住む家を下ったところにあった。
このとんでもない偶然によって、のちにキティはいろいろとおかしな意味で恥ずかしい思いをすることになる。
東海岸のデモ隊の人たちは、カリフォノの自宅へ行くアイデアにずっと反対をしていた。
なぜなら、市民による抗議活動の一線を越えることになるからだ。
しかし、著者たちはカリフォノの自宅に直行することを決めた。
プロトコル[公的な手順]の心配なんてしてられないほど、著者は腹がたっていたのだ。
著者たちを無視することでカリフォノは権力を保っていた。
だからこそ、著者たちが無視できない存在になることが、この状況を変える唯一の方法だったのだ。
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もし権力に対抗しようとするのなら、権力者の注意を引くためにできることはなんでもしなければいけない。
それが暴力的なやり方でない限り。
p197より
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著者たちはとりあえずカリフォノの家の前でフリーダムソングと讃美歌を静かに口ずさみながら、夜通し座り込みをした。
夜明けを迎えると、地域の教会の牧師、ケン・ロングフィールドが早朝礼拝を行なってくれた。
そんな時、たまたまキティの親戚で元米軍将校だったジミーがジョギングで通りかかった。
ジミーがこちらを二度見した後に
「キティ!」と驚きながら叫んだ。
「素晴らしい、礼拝中ですか」
ジミーはそう言いながら、著者たちの円に静かに加わった。
キティは顔を真っ赤にしてジミーを抱きしめたが、なぜここにいるのかの理由に関して親戚を啓発することまではしなかった。
その後、ロングフィールド牧師がいる「ルター・プレイス・メモリアル教会」に皆でトラックに乗り込み向かった。
ここでは機械工の方たちが教会に泊まれるように準備をしてくれていた。
さらにはアクセシブルになるように教会のトイレの壁を取り壊してスロープを置く許可までとってくれていた。
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カリフォノがこれ以上著者たちを無視できないようにするためにやっておくべきことがいくつかあった。
それは
・五〇四条項の起草に関わったふたりの上院議員、著者がアシスタントとして働いていたハリソン・ウィリアムズと民主党の副院内総務であったアラン:クランストンとの面談の設定。
・このふたりにあくまで最初に起草された五〇四条項の内容を支持することと、そして、HEWが提案するいかなる修正案も受け入れない旨の声明を公表してもらいたいこと。
議員からの支持を取り付けることに加え、行政府においても、できる限りのトップに近づく必要があった。
それはホワイトハウスであり、カーター大統領か政策担当の高官との会議をセットすべく頑張らねばならない。
最後に、カリフォノに強い圧力をかけ続ける必要があった。
つまり、ろうそくを灯した徹夜集会と抗議活動をカリフォノの自宅前で続け、その様子をメディアにも報道してもらう。
まずはふたりの議員と会い、声明を発表してもらうためにミーティングをすることにした。
まずはアラン・クランストン上院議員と話をした。
彼は背が高く、スキンヘッドで、鋭い知性を備えた男性だった。
第二次世界大戦の退役軍人であり、元ジャーナリスト。また、政治的に非常に力のあるリベラル派の重鎮であり、彼がもし声明を出してくれたら、カリフォノとカーターにとてつもない影響を与えられるのだ。
クランストン議員は著者たちの活動はもっともだと言ってくれた。
「法制度の責任者は、それによって左右される人びとの声を聞くべきだと強く思います」と言ってくれた。
しかし、「わたしは政権の代弁者ではありません」とも言われた。
著者は彼がもっと協力的になるように説得しなければならなかった。
クランストン議員は、著者たちのために何をすべきか知りたがっていた。
クランストン議員は議論をふっかけてきた。著者たちも押し返した。
「分離すれども平等」の問題を持ち出し、「子ども援護基金」のダニエル・ヨハレムは、大学間協定のアイデアがいかに「分離すれども平等」のシステムになっているかを説明した。
これを聞いたクランストン議員は顔をしかめて言った。
「「分離すれども平等」は、あってはならない」彼はそこで言葉を切った。
著者たちは固唾を呑んだ。
クランストン議員が続けた。
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「差別を容認し続ける何らかの意図があるとは、わたしには思えない。それでも、みなさんに同意します。ここで費用負担のことが論点になるべきではない。声明を出しましょう。大学間協定の考え方は受け入れられない。わたしの声明にそう書きます。」
わたしは息を吐き出した。
p202より
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議員事務所を出るとき、クランストン議員は著者たちと握手をしてくれた。
続いて、ハリソン・ウィリアムズ議員の事務所に向かった。
ウィリアムズ議員は丁寧な態度で真剣に話を聞いてくれた。
著者は単刀直入に言った。
「私たちの要求は、クランストン議員と一緒に声明を出していただくこと、そしてカーター大統領との面談を設定していただくことです」
著者たちは施行規則に関する最新の情勢を伝えた。
ウィリアムズ議員はクランストン議員と一緒に声明を出すことに同意してくれた。
面談はあっという間に終わった。
仲間のひとりは途中から眠ってしまっていた。著者たち全員が疲労困憊であった。
教会に戻り、立て直すことにした。
二人の議員との面談後、みんなは手応えを感じ勝ち目があると思い始めていたようだが、しかし、わたし自身はまだそこまでの感触はなかった。
進捗はあったと思っていたが、ウィリアムズ議員事務所で働いていたときの経験、運動家としての経験、そして単純にこれまでの人生経験から考えても、完全にやり終えるまでは終わりではない、ということを知っていた。
その日の残りの時間は、ホワイトハウスでの面談にこぎつけるべく頑張った。
その結果、なんとカーター大統領の国内政策主幹のスチュアート・E・アイゼンスタットと翌日面会できることになったのだ。
上出来だった。
アイゼンスタットとの協議を建設的なものにするため、疲労困憊でバラバラになりかけている三十四人の代表団が心を一つにして話す必要があった。
その日の夜は戦略を練ることに費やし、寝たのは夜遅くになってからだった。
次回、第八章 ホワイトハウス その2
カーター大統領にもっとも近いアイゼンスタットとの面談に向かうジュディたち。
サンフランシスコに帰りたがるメンバーたち。
まだ署名はされていないのに
施行規則が署名されるのは時間の問題だと彼らは感じていた。
さらには仲間であるはずの「東海岸」と「西海岸」の運動家たちの間に溝が広がる中、ジュディはさらなる怒りの炎を燃やしながら今一度カリフォノの家に向かう。
今回も果たして、ジュディたちはどうなってしまうのか?
次回もよろしくお願いします。
私は毎週、日曜と水曜を担当させて頂いております。
もし、今回の記事に対して何か感じる事がありましたら、ぜひ、皆さんの声もお聞かせ頂けたら幸いです。
最後までお読み頂きありがとうございました。
担当:くまたん
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過去記事のリンク
ぜひ、こちらも読んでみてください♪
シリーズ① 「チベットの生きる魔法」
"師からの助言"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/20/120000
シリーズ② 「チベットの生きる魔法」
"物事は悪くとってはいけないよ"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/23/120000
シリーズ③「チベットの生きる魔法」
"変化しないものなどない"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/27/120000
シリーズ④「チベットの生きる魔法」
"無我について"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/30/120000
シリーズ⑤「チベットの生きる魔法」
"苦、不満足について"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/04/120000
シリーズ⑥「チベットの生きる魔法」
"ただここにあることをまなぶ"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/07/120000
シリーズ⑦「チベットの生きる魔法」
"戦士のスローガン"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/11/120000
シリーズ⑧「チベットの生きる魔法」
"四つのかぎりない特性"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/14/120000
シリーズ⑨「チベットの生きる魔法」
"愛あふれる優しさ"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/18/120000
シリーズ⑩「チベットの生きる魔法」
"愛あふれる優しさ②"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/21/120000
シリーズ11「チベットの生きる魔法」
"思いやり"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/25/120000
シリーズ12「チベットの生きる魔法」
"トンレン"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/28/120000
シリーズ13「チベットの生きる魔法」
"心に響いた言葉"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/01/120000
シリーズ14「チベットの生きる魔法」完結
"偏見のない心で"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/04/120000
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シリーズ① 「死について41の答え」
"疑いを尊重する"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/08/120000
シリーズ② 「死について41の答え」
"疑いを信頼する"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/11/120000
シリーズ③ 「死について41の答え」
"信者ではなく探求者に"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/15/120000
シリーズ④ 「死について41の答え」
"人のことを考えるな"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/18/120000
シリーズ⑤ 「死について41の答え」
"この世から自由になる"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/22/120000
シリーズ⑥ 「死について41の答え」
"この世から自由になる②"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/25/120000
シリーズ⑦ 「死について41の答え」
"未知なるたび"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/01/120000
シリーズ⑧ 「死について41の答え」
"死は最後のタブー"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/05/120000
シリーズ⑨ 「死について41の答え」
"自分を犠牲にしない"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/08/120000
シリーズ⑩ 「死について41の答え」完結
"全世界を忘れる事だ!"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/12/120000
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シリーズ① 「わたしが人間であるために」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/15/120000
シリーズ② 「わたしが人間であるために」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/19/120000
シリーズ③ 「わたしが人間であるために」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/22/120000
シリーズ④ 「わたしが人間であるために」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/26/120000
シリーズ⑤ 「わたしが人間であるために」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/10/03/120000
シリーズ⑥ 「わたしが人間であるために」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/10/06/120000
シリーズ⑦ 「わたしが人間であるために」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/10/10/120000
シリーズ⑧ 「わたしが人間であるために」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/10/13/120000
シリーズ⑨ 「わたしが人間であるために」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/10/17/120000
シリーズ⑩ 「わたしが人間であるために」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/10/20/120000
シリーズ11 「わたしが人間であるために」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/10/24/120000
シリーズ12 「わたしが人間であるために」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/10/27/120000
シリーズ13 「わたしが人間であるために」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/11/03/120000
シリーズ14 「わたしが人間であるために」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/11/07/120000
シリーズ15 「わたしが人間であるために」
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シリーズ17 「わたしが人間であるために」
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