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こんにちは、くまたんです。
今回もジュディス・ヒューマンさんの
「わたしが人間であるために」を
ご紹介させて頂きます。
よろしくお願いします。
「 わたしが人間であるために 」〜シリーズ20
第二部 一九七七年 バークレー・カリフォルニア
第七章 戦場の兵士 その2
◯前回のあらすじ
ミラー議員とバートン議員の協力のもと、HEW代表のアイゼンバーグを相手に
議会公聴会が始まった。
しかし、理解などしていないアイゼンバーグが「分離すれども平等」という言葉を持ち出してきた瞬間、ジュディの怒りは全米中の障害者の怒りとなって燃えさかった。
その場に集まった多くの障害者たちも今までの思いの丈をそれぞれが爆発させていった。
しかし、途中でアイゼンバーグは荒々しく立ち上がり部屋を出ていってしまう。
その様子を見たバートン議員は激怒し、逃げたアイゼンバーグを引きずり戻し、椅子に座らせた。
証言は五時間にもおよび、公聴会は無事終わったが、カリフォノからは何の音沙汰もなかったのである。
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ここで一つ著者たちは壁にぶつかる。
公聴会をしてもカリフォノは何も反応をせずに無視をしてきたのだ。
これには著者たち幹部も苛立ちを隠せなかった。
カリフォノに無視をさせないようにするには、何をすればよかったの?
ここで、著者は一つの案を出す。
「DCに代表団を送り込むのはどう?」
利点は五〇四条項を支持する国会議員たちと直接話ができる可能性がある。
カリフォノやカーター大統領との面会も画策できる。
著者は経験上、国会議事堂では直接会って話すことが効果的なことを知っていた。
一方で多くのリスクを伴う。
失敗すれば、サンフランシスコ連邦政府ビルに再び戻ることができなくなる。
それは、建物内の著者たちの基地、すなわち交渉を有利に進める唯一の切り札を失うことに直結していた。
そして、このままだと「サンフランシスコで少し前にあった事件」にいつ成り下がってもおかしくないことも自覚していた。
もしこのあともずっと無視をされ、馬鹿にされ続けたら?
デモ隊の雰囲気は一変する可能性があった。
私たちは行動を起こさなければならなかった。
今がその時だった。
公聴会の翌日、この方針についてデモ隊のみんなの意思を聴くことにした。
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一五〇名全員の心からの賛同と支援がない限り、DCに代表団を送るわけにはいかなかった。
もしみんなが、自分たちは代表団のメンバーに比べて重要な存在ではないとか、置いていかれるような気持ちになれば、もめごとに陥って建物を失うリスクがあった。
p189より
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この決定を一五〇名でしたあと、次にいつ代表団を派遣するかのタイミングについてDCのデモ隊に合意を得る必要があった。
DCのデモ隊は、自分たちが立てこもりデモから離脱したことに対して無用な罪悪感を背負い、私たちが彼らの応援にかけつけたかのように見えることを心配しているようだった。
でも、待てなかった。私たちの立てこもりも、いつ陥落するかわからなかったからだ。
そして、誰がDCに行くか?何人で行くべきか?という点を決めなければならなかった。
150人の会議を進行するのも大変だが、加えてそれぞれの障害特性があり、とても難しい会議に向き合おうとしていた。
女性として「強い女性」に見えるよう、でも「好きになれない女」にはならないように。
DCの要請に反して強行すれば、みんなが怒って著者を責めるかもしれないとわかってはいたが、それでも、自分に正直でいなければならなかった。
そこで、慎重かつ、明確に話すことを心がけた。
・私たちが全米の中で最も力があり、最後まで持ちこたえているデモ隊であること。
・DCが既に2回失敗していること。
・一日単位で状況が変わり得ること。
そこまで話し、反応をまった。
のちにデモ隊のひとりがこのときのことをこのように回想している。
「穏やかだけど、誰にも止められない」
ように見え、「この女性についていかない人なんているの?」と思ったと語っている。
しかし、著者の心の中は違っていた。
実は内心では自分たちがどこに向かっているのかまったくわからなくなっていた。唯一わかっていたのは、一つになれなければ自分たちはまったくの無力だ、ということだけだった。
ひたすら話して、話して、話し合った。
そして、全員が、申し分なく、素晴らしい形で賛同してくれたのだ。
これに対して、エヴァン・ホワイトというABCニュースの記者が代表団に同行取材することを約束してくれた。
あとは、DC行きの旅費を集めるだけであった。
翌日は四月十七日、日曜日であった。
その朝、グラインド・メモリアル教会で、セシル・ウィリアム牧師はこの立てこもりを題材に説教をした。
参列者の中に、ウィリー・ディックスという名前の男がいた。
ディックスは、アメリカでも最古参の労働組合の一つで、不平等に対する闘争で有名な「国際機械工組合」のメンバーであった。
この説教のあと、ウィリーは一千ドルの小切手を手に、著者たちの建物にまっすぐやってきた。
ウィリーはウィリアム牧師の説教の中で
「あの人たちがあそこで立てこもりができるのに、君たちはいったい何をしているんだ?」と問いかけられた。
それで、ウィリーは自分が何ができるかを尋ねに来てくれたのだ。
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状況を一変させるような偶然が再び重なった。
その後の二日間で、ウィリーは機械工たちを私たちの賛同者にし、DCに行くための三十四名分の代表団旅費を集めてくれた。
p192より
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その日曜日、サンフランシスコ市長のジョージ・モスコーニが、サンフランシスコ総合病院の医療部長と大勢の医療関係者を引き連れて建物にやってきた。
当時、モスコーニ市長は市の各種委員会に女性や人種的マイノリティを登用すべく頑張っており、より棒弱な立場に置かれた人たちの権利を護る市長として有名だった。
市長は、石けん、タオル、車いすの床ずれ用クリーム、そしてシャワーヘッドがついたゴムのホースを持ってきてくれて、それをトイレの蛇口につければ私たちがシャワーを浴びられるようにしてくれた。
また、著者たち全員に立てこもり中に放置していた医療的なニーズがあれば、医療関係者に診てもらえるようにまでしてくれたのだ。
しかし、マルドナドはそんな市長の厚意を押し返そうとシャワーヘッドは一つしか認めないと言い、さらには「私たちはホテルを経営しているわけではないのでね」と言った。
未だにマルドナドは厳しい環境にすれば耐えられずに出ていくことを期待しているようであった。
モスコーニ市長は激怒し、カーター大統領に直接電話をして、シャワーヘッドを一つどころか四つつける許可を得てくれた。
信じられないような一日だった。
と著者はこの時のことを回想している。
しかし、この六ヶ月後、悲劇が起きる。
モスコーニ市長の支援を受けて、ゲイであることを公表した初めてのサンフランシスコ市議として選出されたハーヴェイ・ミルクが元市議のダン・ホワイトに二人とも暗殺されてしまうのである。
モスコーニ市長は命と引き換えにその代償を払うことになった。
でもあの日、モスコーニ市長は未来につながる決定的な役割を果たし、ジュディたちにそのバトンを渡したのだ。
次回、第八章 ホワイトハウス
「ワシントンへようこそ!」
機内にやってきたウィリー・ディックスが言った。
等々、DCにやってきたジュディたち。
空港に出迎えにきてくれた機械工たち。
早速、ジュディたちはカリフォノの自宅に行くというアイデアをぶっこんでいく。
果たして、ジュディたちはどうなってしまうのか?
次回もよろしくお願いします。
私は毎週、日曜と水曜を担当させて頂いております。
もし、今回の記事に対して何か感じる事がありましたら、ぜひ、皆さんの声もお聞かせ頂けたら幸いです。
最後までお読み頂きありがとうございました。
担当:くまたん
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過去記事のリンク
ぜひ、こちらも読んでみてください♪
シリーズ① 「チベットの生きる魔法」
"師からの助言"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/20/120000
シリーズ② 「チベットの生きる魔法」
"物事は悪くとってはいけないよ"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/23/120000
シリーズ③「チベットの生きる魔法」
"変化しないものなどない"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/27/120000
シリーズ④「チベットの生きる魔法」
"無我について"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/30/120000
シリーズ⑤「チベットの生きる魔法」
"苦、不満足について"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/04/120000
シリーズ⑥「チベットの生きる魔法」
"ただここにあることをまなぶ"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/07/120000
シリーズ⑦「チベットの生きる魔法」
"戦士のスローガン"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/11/120000
シリーズ⑧「チベットの生きる魔法」
"四つのかぎりない特性"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/14/120000
シリーズ⑨「チベットの生きる魔法」
"愛あふれる優しさ"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/18/120000
シリーズ⑩「チベットの生きる魔法」
"愛あふれる優しさ②"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/21/120000
シリーズ11「チベットの生きる魔法」
"思いやり"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/25/120000
シリーズ12「チベットの生きる魔法」
"トンレン"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/28/120000
シリーズ13「チベットの生きる魔法」
"心に響いた言葉"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/01/120000
シリーズ14「チベットの生きる魔法」完結
"偏見のない心で"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/04/120000
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シリーズ① 「死について41の答え」
"疑いを尊重する"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/08/120000
シリーズ② 「死について41の答え」
"疑いを信頼する"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/11/120000
シリーズ③ 「死について41の答え」
"信者ではなく探求者に"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/15/120000
シリーズ④ 「死について41の答え」
"人のことを考えるな"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/18/120000
シリーズ⑤ 「死について41の答え」
"この世から自由になる"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/22/120000
シリーズ⑥ 「死について41の答え」
"この世から自由になる②"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/25/120000
シリーズ⑦ 「死について41の答え」
"未知なるたび"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/01/120000
シリーズ⑧ 「死について41の答え」
"死は最後のタブー"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/05/120000
シリーズ⑨ 「死について41の答え」
"自分を犠牲にしない"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/08/120000
シリーズ⑩ 「死について41の答え」完結
"全世界を忘れる事だ!"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/12/120000
----------------------------------------
シリーズ① 「わたしが人間であるために」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/15/120000
シリーズ② 「わたしが人間であるために」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/19/120000
シリーズ③ 「わたしが人間であるために」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/22/120000
シリーズ④ 「わたしが人間であるために」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/26/120000
シリーズ⑤ 「わたしが人間であるために」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/10/03/120000
シリーズ⑥ 「わたしが人間であるために」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/10/06/120000
シリーズ⑦ 「わたしが人間であるために」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/10/10/120000
シリーズ⑧ 「わたしが人間であるために」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/10/13/120000
シリーズ⑨ 「わたしが人間であるために」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/10/17/120000
シリーズ⑩ 「わたしが人間であるために」
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/10/20/120000
シリーズ11 「わたしが人間であるために」
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