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「わたしが人間であるために」シリーズ19 アコアOnline Book Salon

※『アコアOnlineBookSalon』は「コロナウィルス感染症:いのちとこころを守るSOS基金」に寄せられた市民の方のご寄付によるご支援を頂き2021年12月末まで行う事業です。

 

Twitter ⇒ @acoaBookSalon


こんにちは、くまたんです。



今回もジュディス・ヒューマンさんの

「わたしが人間であるために」を

ご紹介させて頂きます。


よろしくお願いします。


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「 わたしが人間であるために 」〜シリーズ19


第二部 一九七七年 バークレー・カリフォルニア


第七章 戦場の兵士


◯前回のあらすじ


HEWの顧問弁護士ピーターからの電話にて望む施行規則から程遠い内容になりつつあることを知った著者たち。


その時に颯爽と現れたのが下院議員のジョージ・ミラーであった。


「勝つまでここを離れてはいけない」と激励するミラー。


同じくカリフォルニア州の下院議員フィル・バートンとミラーは連邦ビルの中で議会公聴会を開くことを決めたと伝えられる。勝利の雄叫びをあげる著者たちは世間の関心を高めることに成功したことを確信する。


そして立てこもり十一日目、四月十五日、議会公聴会の日を迎えたのであった。


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ミラー議員とバートン議員が建物に入ってきた。


小さな部屋に人が満杯になっていた。


車いすユーザー、知的障害者精神障害者、親、手話で話しているろう者、白杖を持った視覚障害者がいて、記者やメディアもちらほらといたと著者は回想する。


建物の外には、デモ行進のために800名が集まっており、民主党の副院内総務だったアラン・クランストン上院議員が、応援の電報を送ってくれた。


バートン議員が、公聴会の目的は紛争の性質を理解することだと前置きをしたうえで、公聴会はスタートした。


著者がまず、最初に話した。


「みなさんは私たちの行動を正当に評価してくださいました」と議員への謝意を表しつつ「私たちは、これ以上妥協しません」「私たちが望む形で施行規則が署名されるまで、この建物から出ていくことはありません。これは一つの公民権運動です」と伝え、一度口をつぐんで続けた。


「みなさんは、私たちが公民権運動を始める手助けをしてくれているのです」


続いて、HEWを代表してDCから派遣されたジーン・アイゼンバーグが、既に聞き飽きたカリフォノ長官と次官の声明を代読した。


議員たちが、アイゼンバーグになぜ、施行規則の署名が遅れているのか理由を尋ねた。


アイゼンバーグは、検討課題を並べ立てて抗弁した。そもそもカリフォノがやや地位の低い官僚のアイゼンバーグを議会公聴会に送り込んだという事実が、我々に対する姿勢を物語っていた。


議員たちはアイゼンバーグの答弁を徹底的にただした。


どういった検討をしているのか?

いったい、何の目的で?


アイゼンバーグは、細部まで問いただされて明らかに動揺し、あいまいな答弁を続けた。


しどろもどろになりつつ、「検討課題は二六項目にものぼっている」と告げ、「分離すれども平等」というフレーズを口にした。


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このフレーズを耳にした瞬間、わたしの中で何かが爆発した。


「分離すれども平等」?

HEWはいまだに「分離すれども平等」のアプローチで考えているのか?

これだけな権利擁護団体から私たちが支持を受けているなかで?

この人たちは「ブラウン対教育委員会事件判決」も知らないのか?


「分離すれども平等」の考え方など、今やどの公民権運動においても許容されるものではない。

ましてや、あんなふうに堂々と主張するなど論外だった。


憤りた苛立ちで一杯になった。


p182.183より

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キティはアイゼンバーグの「分離すれども平等」という言葉を聞いた瞬間に建物から外に出て、800人のデモ隊にこの発言を伝えた。


それを聞いたデモ隊は部屋の中まで聞こえる大きさで怒りの声をあげた。


著者は手元のメモは見ずに、深く息を吸ってアイゼンバーグを真っ向から見据えた。


「五〇四条項があろうとなかろうと」


著者の声は震えていた。


「「ブラウン対教育委員会事件」の判決があります」


声は震え、視線を落とし、涙をこらえると、再びアイゼンバーグを睨みつけた。


「この…」


著者は言いかけて、言葉に詰まった。


それは今まで、声をあげ続けた何日間、何週間、何年間もの重圧と徒労感が胸に迫ってきたからだった。


生きるための平等な機会をただ求めているだけなのに、なぜこうして闘わなければいけないのかということへの重圧と徒労感であった。


もう一度、息を大きく吸った。


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「この仕打ちです。障害のある人たちが押し付けられてきた不公平さ、今なお政権が議論しているこの不公平さは、許しがたく、言葉にできません」


震える声を、どうすることもできなかった。 一言発するたびに、昔の記憶が蘇った。友だちがみんな学校にいる間、家のリビングでひとり窓の外を眺めていたこと。ブルックリン大学の卒業式会場で、父に壇上にあげてもらいながら泣いたこと。トイレ介助をしてくれる人を探して、寮中のドアをノックして回ったこと。客室乗務員から飛行機の外に出されそうになったとき、わたしを見ていた乗客たちの目。


「確実に言えることは」


自分の中に力が湧いてくるのがわかった。


「あなたがたが「分離すれども平等」を持ち出すたびに、全米中の障害者の怒りは燃えさかり、いつか爆発するということです。あなたがたが私たちの立場を理解するまで。 仮に理解できるようになったらの話したですが。 さらに多くの建物が占拠されることになるでしょう」


「私たちは、政府がこれ以上障害者を抑圧することを許しません。私たちは、法の施行を求めます! さらなる分離は望みません! 分離についての議論はこれ以上する気はありません。それから…」


わたしは口をつぐんだ。


アイゼンバーグが、わたしに共感するかのように頷いていた。


その顔つきが、耐えられなかった。


「それから、今私たちが何を話しているかわかりもしないのに、そんなふうに頷くのはやめてください!」


わたしは両手を顔にうずめ、嗚咽をこらえた。部屋には拍手が鳴り響いていた。


p184.185より

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「カリフォノが見落としていることがあります。それは、彼らが座って理屈をこねくり回している限り、私たちの生活はまったく変わらないということに気づいていないことです。」


DCにある障害権利センターのデビー・カプランは言った。


「わが国最大のマイノリティ集団に対して分離を進めるうえで、これ以上の青写真は見たことがありません」とエド・ロバーツは皮肉った。


ひとり、またひとりと、次々とスピーカーが立ち上がり頑張った何年間もの経験について語り、重要な問題、取り組むべき問題であることを伝えようとしていた。


そんな中、突然、アイゼンバーグが荒々しく席を立ち、くるりと背を向けると部屋から走り去った。


全員が顔を見合わせ戸惑っていた。



バートン議員が席を蹴り立った。

真っ赤な顔で向きを変え、アイゼンバーグの後を追って走って部屋を出た。


「そこから出てこい!今すぐ出てくるんだ!出てこい!」


バートン議員が叫び、ドアを蹴る音が聞こえた。


「こっちに出てこい!今すぐ出てこい!」


バートン議員は激怒していた。


そして、アイゼンバーグはバートン議員に付き添われて戻ってきた。


アイゼンバーグは下を向き、明らかに私たちの視線を避けていた。


恥じ入っているいるようだった。


公聴会は続き、証言は五時間にわたった。


最後はバートン議員が締めくくった。


「この部屋の中にいる人で、今日のことを誇りに思わない人はいないでしょう」


バートン議員の目には涙が浮かんでいた。


公聴会のあと、きっとカリフォノから何かしら連絡があるだろうと誰もが思っていたが、しかし、何の音沙汰もなかった。



次回、第七章 戦場の兵士 その2


カリフォノに無視させないようにするには、何をすればよかったのか?


ジュディを含む幹部は皆、苛立っていた。


そこで、ジュディはDCにデモ隊の一部を代表団として送り込むアイデアをだす。


このまま何もしなければ「サンフランシスコで少し前にあった事件」として風化していってしまう。


みんなで話して話してひたすら話し合ってDCに行くことが決定する。


しかし、旅費や医療品など問題は山積みであったが、状況を一変させるような偶然が再び重なったのである。


次回もよろしくお願いします。


私は毎週、日曜と水曜を担当させて頂いております。


もし、今回の記事に対して何か感じる事がありましたら、ぜひ、皆さんの声もお聞かせ頂けたら幸いです。


最後までお読み頂きありがとうございました。



担当:くまたん


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過去記事のリンク


ぜひ、こちらも読んでみてください♪



シリーズ① 「チベットの生きる魔法」

"師からの助言"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/20/120000



シリーズ② 「チベットの生きる魔法」

"物事は悪くとってはいけないよ"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/23/120000



シリーズ③「チベットの生きる魔法」

"変化しないものなどない"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/27/120000



シリーズ④「チベットの生きる魔法」

"無我について"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/30/120000



シリーズ⑤「チベットの生きる魔法」

"苦、不満足について"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/04/120000



シリーズ⑥「チベットの生きる魔法」

"ただここにあることをまなぶ"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/07/120000



シリーズ⑦「チベットの生きる魔法」

"戦士のスローガン"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/11/120000



シリーズ⑧「チベットの生きる魔法」

"四つのかぎりない特性"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/14/120000



シリーズ⑨「チベットの生きる魔法」

"愛あふれる優しさ"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/18/120000



シリーズ⑩「チベットの生きる魔法」

"愛あふれる優しさ②"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/21/120000



シリーズ11「チベットの生きる魔法」

"思いやり"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/25/120000



シリーズ12「チベットの生きる魔法」

"トンレン"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/28/120000



シリーズ13「チベットの生きる魔法」

"心に響いた言葉"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/01/120000



シリーズ14「チベットの生きる魔法」完結

"偏見のない心で"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/04/120000


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シリーズ① 「死について41の答え」

"疑いを尊重する"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/08/120000



シリーズ② 「死について41の答え」

"疑いを信頼する"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/11/120000



シリーズ③ 「死について41の答え」

"信者ではなく探求者に"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/15/120000



シリーズ④ 「死について41の答え」

"人のことを考えるな"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/18/120000



シリーズ⑤ 「死について41の答え」

"この世から自由になる"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/22/120000



シリーズ⑥ 「死について41の答え」

"この世から自由になる②"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/25/120000



シリーズ⑦ 「死について41の答え」

"未知なるたび"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/01/120000



シリーズ⑧ 「死について41の答え」

"死は最後のタブー"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/05/120000



シリーズ⑨ 「死について41の答え」

"自分を犠牲にしない"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/08/120000


シリーズ⑩ 「死について41の答え」完結

"全世界を忘れる事だ!"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/12/120000


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シリーズ① 「わたしが人間であるために」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/15/120000


シリーズ② 「わたしが人間であるために」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/19/120000


シリーズ③ 「わたしが人間であるために」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/22/120000


シリーズ④ 「わたしが人間であるために」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/26/120000


シリーズ⑤ 「わたしが人間であるために」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/10/03/120000


シリーズ⑥ 「わたしが人間であるために」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/10/06/120000


シリーズ⑦ 「わたしが人間であるために」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/10/10/120000


シリーズ⑧ 「わたしが人間であるために」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/10/13/120000


シリーズ⑨ 「わたしが人間であるために」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/10/17/120000


シリーズ⑩ 「わたしが人間であるために」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/10/20/120000


シリーズ11 「わたしが人間であるために」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/10/24/120000


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