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「わたしが人間であるために」シリーズ16 アコアOnline Book Salon

※『アコアOnlineBookSalon』は「コロナウィルス感染症:いのちとこころを守るSOS基金」に寄せられた市民の方のご寄付によるご支援を頂き2021年12月末まで行う事業です。

 

Twitter ⇒ @acoaBookSalon


こんにちは、くまたんです。



今回もジュディス・ヒューマンさんの

「わたしが人間であるために」を

ご紹介させて頂きます。


よろしくお願いします。


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「 わたしが人間であるために 」〜シリーズ16


第二部 一九七七年 バークレー・カリフォルニア


第六章 占領軍 その2


◯前回のあらすじ


連邦ビルを占拠した著者たち。


明日から闘っていく準備をそれぞれがしていく中、デモ隊に会うためだけにカリフォノは出張先から急遽戻ってきた。


カリフォノは声名を出したが、それは三年もの間、検討されてきた五〇四条項の施行規則に署名する予定ではあるが、まだ検討するために時間が必要という著者側と一緒に取り組む気などないことが明白な声名であった。


「私たちに相談なく、私たちの生活を左右する決定を下す人たちにはいい加減うんざりだ。」


慣れない連邦ビルの中で眠り、朝を迎えると著者たちはまるで他国の占領軍のように報道されていた。


「今こそ、私たち自身の手で私たちの物語を伝えるときだ!」


準備を終えた著者たちはこの思いを胸に記者会見に臨むのであった。

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記者会見のために記者たちが続々と集まってきた。


予め、メディアが建物に入ってきたら抗議ソングを歌うようにみんなに伝えた。


それは公民権運動と著者たちを結びつけて考えてもらうためだった。


また、最初に、言葉の使い方をメディアに教育した。


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「「不具者」とか「身障者」、「つんぼ」や「おし」といった言葉を使わないでください」と記者に告げた。


「これらは古い言葉で、今日許される表現ではありません。私たちはそういった存在ではありません。私たちは、「障害者」です」


続けて、五〇四条項と施行規則に関する自分たちの立場を説明した。

記者たちは聞きながらメモ帳に走り書きをし、テレビカメラを回していた。


私たちの権利と差別について記者たちに教えられるなんて、本当に嬉しかった。


p157より

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これはもちろん、二次加害を防ぐための著者たちの防衛法であった。


アコアの仲間である伊藤楓さんが、以前、勉強会にて自身の話をする時にあまりの二次加害の多さにうんざりしたため、いくえさんと相談して共に二次加害の説明文書を作成し、事前に参加者に配布し、わたしが読み上げ説明をした。


わたしは「こうして事前に説明をし、理解してもらうことで当事者を守ることができるこの方法は素晴らしい」と思い、その勉強会に参加していて実感しました。


今回読んでいて40年前のアメリカでジュディたちは同じように訴えていたことを知りました。


現代の日本では未だに当事者たちの意見がないがしろにされていることも事実として起きています。


ジュディが記者たちに対して「言葉の使い方をメディアに教育した。」

という言い回しはとても爽快でした。


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「率直に言えば」と、わたしは全国放送局の記者に言った。


「(HEWが)私たちに圧力をかけることは非常に難しくなると思います。昨日、私たちが五〇四条項について彼らに質問し「五〇四条項を読んだことがありますか?」と聞くと、職員は誰ひとり読んだことがないと答えたのです。彼らは私たちがここにいることに感謝し、彼らが施行すべき法律についてやっと教育してもらえる機会を得たことを歓迎すべきです」


p157より

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この記者会見の後、著者たちに電撃が走る。


DCのデモ隊が解散したのだ。


さらにプレスリリースにカリフォノの声名が載っていた。


著者はみんなに向かって大声で読み上げた。


声名は要約するとこうだ。


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・本日午後に終了した身障者によるデモは国の良心に訴えたグループからの正当な要求を明らかにするもの。


・彼らは不当な差別に苦しんできた。


・来月署名する五〇四条項の施行規則は、身障者である国民を苦しめてきた過去の不正義をただし、彼らの固有の権利である自立、尊厳、公正な処遇の実現に向けた重要な一歩になると信じている。

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この声明は一見すると著者たちの訴えを受け入れているように見えるが、その裏側ではカリフォノは当事者たちを兵糧攻めにし、食糧、医薬品、通信手段へのアクセスを絶つ命令を下していたのだ。


カリフォノは意図して仲間たちを追い出していたが、障害者と敵対している印象を避けるために著者たちの主張を支持しているように見せかける必要があった。


カリフォノはただ時間を稼ぎ、著者たちの「理性を失った」行動に対して合理的に対処中だと世間を安心させれば、人々は関心を失うだろうと踏んでいた。


それが先の声名内容であった。


これに対して、著者は下記のように考えていた。

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私たちは、平和的なデモ隊に食糧や物資の補給を許さないことは、民主主義の精神に反することを浮き彫りにしたかった。

真の民主主義は、政府の責任を明らかにする市民の力を尊重するものだ。


p159より

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とはいえ、著者たちは問題に直面していた。


占領からわずか一日で、DCは陥落。

ニューヨークのデモ隊は10名まで減り

デンバーは今や首の皮一枚。


ロサンゼルスのデモ隊は一桁になったという情報も必ずカリフォノの耳に入るだろう。


このままではならない。


著者はデモ隊全員とのコミュニケーションを担当する幹部チームのリーダーに任命され、カリフォノのデモ隊対策について、分析を共有した。


これまで以上に、私たちはこの持ち場を守り、強くあらねばなりません。私たちがあきらめてここを明け渡せば、唯一の交渉カードを失うことになる!


しかし、著者はここで口をつぐむ。


みんなにいつまでもここに残ってほしいと頼むわけにはいかない。


それは頼みすぎだと考え直し、もう一日だけ残ってほしいと、一日単位でお願いしていくことしか私たちにはできない。


「もう一晩、残ってくれますか?たった一晩が、大きな変化を生みます」


こうして、最終的に110名が残ることを申しでてくれた。


35名増だ。


「ジュディ!ジュディ!起きて!」


すぐに眠りから覚めると監視係のひとりが目の前に立ち、真剣な顔をしていた。


朝の六時だった。


悪い知らせであった。


協力的であった警備員であったが、外には出ることはできても、出たら最後、建物に戻ることはできなくなっていた。


「連邦ビルを完全封鎖する命令が下りたのかもしれない」と監視係は言った。


その日は聖金曜日(休日)であり、家に帰り子どもに会いたいメンバーがいれば、もう戻ってくることはできなくなる。


これは、食糧も、医薬品も、着替えも何もかも持ち込めなくなることを意味していた。


これではみんな離脱してしまう。


お湯なども止められており、事務用電話もブロックされていた。


残された連絡手段は廊下にある二台の公衆電話だけ。


カリフォノが著者たちも孤立させようとしているのは明白であった。


ここで、著者は協力団体に連絡をして、建物内にいる人数以上に強力な集団であることを理解してもらう必要性をかんじた。


まず、グライド・メモリアル教会のセシル・ウィリアム牧師に連絡をした。


サンフランシスコにおける抵抗文化の発信地であり、最も信頼できる支援者だった。


事情を聞いたウィリアム牧師は、著者たちの存在に注目を集めるために、建物の外で夜通しの抗議集会を行うとその場で約束をしてくれた。


次に教会協議会のノーマン・リーチに電話をかけると、同様に抗議集会を支持すると約束してくれた。


著者はプレスリリースに現状を追記し、私たちの行動に対する支援の輪を見える形で示すため、夜通しの抗議集会を国連広場で始めること。


そして、基本的人権を危惧するすべての人たちに、この集会に参加してほしいと訴え、それが建物内のすべての人たちの支えになることを明記し、声名をメディアに一斉にファックスした。


だが、まだ一日は始まったばかりであった。


さらに著者たちに追い討ちをかける情報がDCの国会にいる知り合いからからはいる。


「HEWは施行規則の検討を止めたらしいよ。」


カリフォノが、大きく方針転換しようとしているのがわかった。


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「その代わり、HEWは重要関心事項を準備している。法的義務を免除され得るあらゆる年代の建物を調べ、アルコール依存症者・麻薬依存症者を施行規則の対象から外し、すべての大学をアクセシブルにしなくても済むように、ある種の大学間連合もつくろうとしている。つまり、障害のある学生は特定の大学にしか通えなくなる」


p164より

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パットが口を開く。

「新しい形での、「分離すれども平等」ってことね」


キティはみんなが思っていたことを口にした。


「私たちの行動をまったく真剣に受け止めていない証拠だね」


この後、さらに悪い知らせが著者たちに舞い込んでくるのである。



次回、第六章 占領軍 その3


間もなく、デンバーとニューヨークからも仲間たちが投降したという知らせがきた時にみな、流石に暗い顔をしていた。


その顔を見つめながら著者は無力感と闘っていた。


そんな時に渉外班のメンバーから耳を疑う情報が舞い込んでくる。


著者たちも一瞬何を言っているのか理解できなかった。


その情報とは何か?


この続きは次回、シリーズ17をお楽しみに。


次回もよろしくお願いします。


私は毎週、日曜と水曜を担当させて頂いております。


もし、今回の記事に対して何か感じる事がありましたら、ぜひ、皆さんの声もお聞かせ頂けたら幸いです。


最後までお読み頂きありがとうございました。



担当:くまたん


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過去記事のリンク


ぜひ、こちらも読んでみてください♪



シリーズ① 「チベットの生きる魔法」

"師からの助言"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/20/120000



シリーズ② 「チベットの生きる魔法」

"物事は悪くとってはいけないよ"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/23/120000



シリーズ③「チベットの生きる魔法」

"変化しないものなどない"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/27/120000



シリーズ④「チベットの生きる魔法」

"無我について"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/30/120000



シリーズ⑤「チベットの生きる魔法」

"苦、不満足について"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/04/120000



シリーズ⑥「チベットの生きる魔法」

"ただここにあることをまなぶ"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/07/120000



シリーズ⑦「チベットの生きる魔法」

"戦士のスローガン"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/11/120000



シリーズ⑧「チベットの生きる魔法」

"四つのかぎりない特性"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/14/120000



シリーズ⑨「チベットの生きる魔法」

"愛あふれる優しさ"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/18/120000



シリーズ⑩「チベットの生きる魔法」

"愛あふれる優しさ②"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/21/120000



シリーズ11「チベットの生きる魔法」

"思いやり"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/25/120000



シリーズ12「チベットの生きる魔法」

"トンレン"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/28/120000



シリーズ13「チベットの生きる魔法」

"心に響いた言葉"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/01/120000



シリーズ14「チベットの生きる魔法」完結

"偏見のない心で"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/04/120000


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シリーズ① 「死について41の答え」

"疑いを尊重する"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/08/120000



シリーズ② 「死について41の答え」

"疑いを信頼する"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/11/120000



シリーズ③ 「死について41の答え」

"信者ではなく探求者に"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/15/120000



シリーズ④ 「死について41の答え」

"人のことを考えるな"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/18/120000



シリーズ⑤ 「死について41の答え」

"この世から自由になる"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/22/120000



シリーズ⑥ 「死について41の答え」

"この世から自由になる②"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/25/120000



シリーズ⑦ 「死について41の答え」

"未知なるたび"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/01/120000



シリーズ⑧ 「死について41の答え」

"死は最後のタブー"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/05/120000



シリーズ⑨ 「死について41の答え」

"自分を犠牲にしない"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/08/120000


シリーズ⑩ 「死について41の答え」完結

"全世界を忘れる事だ!"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/12/120000


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シリーズ① 「わたしが人間であるために」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/15/120000


シリーズ② 「わたしが人間であるために」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/19/120000


シリーズ③ 「わたしが人間であるために」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/22/120000


シリーズ④ 「わたしが人間であるために」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/26/120000


シリーズ⑤ 「わたしが人間であるために」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/10/03/120000


シリーズ⑥ 「わたしが人間であるために」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/10/06/120000


シリーズ⑦ 「わたしが人間であるために」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/10/10/120000


シリーズ⑧ 「わたしが人間であるために」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/10/13/120000


シリーズ⑨ 「わたしが人間であるために」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/10/17/120000


シリーズ⑩ 「わたしが人間であるために」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/10/20/120000


シリーズ11 「わたしが人間であるために」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/10/24/120000


シリーズ12 「わたしが人間であるために」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/10/27/120000


シリーズ13 「わたしが人間であるために」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/11/03/120000


シリーズ14 「わたしが人間であるために」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/11/07/120000


シリーズ15 「わたしが人間であるために」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/11/10/120000


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