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「わたしが人間であるために」シリーズ15 アコアOnline Book Salon

※『アコアOnlineBookSalon』は「コロナウィルス感染症:いのちとこころを守るSOS基金」に寄せられた市民の方のご寄付によるご支援を頂き2021年12月末まで行う事業です。

 

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こんにちは、くまたんです。



今回もジュディス・ヒューマンさんの

「わたしが人間であるために」を

ご紹介させて頂きます。


よろしくお願いします。


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「 わたしが人間であるために 」〜シリーズ15


第二部 一九七七年 バークレー・カリフォルニア


第六章 占領軍


◯前回のあらすじ


五〇四条項の署名が約束された四月五日、全く動きのない政府に対して、著者たちはデモを決行する。


CILは何年もかけて力を蓄え、その頃には「基地」になっていた。


連邦ビル前の広場で仲間たちが次々と魂をふるわすスピーチを繋げていき、著者の番がきた。


「私たちは、あまりにも長い間待ち続け、あまりにも多くの妥協をし、我慢をしすぎたのです。」


「私たちは、もうこれ以上我慢しない。一切の妥協もしない。」


皆でビルに突撃し、マルドナド局長に五〇四条項について問い詰めるもそんなの知らないという。著者はキレた。


理解していなかっただと?


連邦ビルに泊まり込むことを決めた著者を含めた七十五名の仲間たちの運命やいかに…


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著者は残ってくれた仲間たちに心をこめて話をした。


「政府が五〇四条項の施行規則に署名するまで、どうか私たちと一緒にこの建物に残ってください!」


「ここに残ることを検討してください。今はここが私たちの持ち場です。」


この時、長い間、誰ひとり言葉を発しなかった。それはなぜか。


障害者にとっての「泊まり込む」という行為が、サンドイッチと歯ブラシをリュックに、放り込めば準備完了とはいかないからだ。


さらには介助者や医薬品、カテーテルのように交換を要する器具が不可欠であり、床ずれを防ぐために体位交換も必要だからである。


しかし、この時、大半の参加者は介助者を連れてきておらず、食糧すら持ってきていなかったのです。


そんな中でもひとり、またひとりと手があがり、ありがたいことに数名の介助者も一緒に残ると申し出てくれたことで最終的に総勢七十五名になった。


キティと著者はチームを再編成するために意気揚々とマルドナドの部屋に向かった。


メアリー・ルー

メアリー・ジェーン

アン、ジム

パット・ライト

(介助のことで助けてくれた友人)

ジョニ・ブレブス

(キティをデモに送ってくれた友人)


ジョニとアン以外は全員、五〇四条項のために立ち上げた委員会のメンバーであった。


まずは、次に何をすべきか?を皆で考えた。


・みんなに食糧を行き渡らせる方法

・他の地域の抗議活動の動向

・記者会見の準備


これらにとりかかった。


その間、建物内ではデモ参加者たちで自己紹介をしあい、建物を探索し、ちょうど良い大きさの会議室を見つけて、そこを占拠した。


みんな、テーブルを囲み、お菓子を分け合いながら笑ったり語り合っていた。


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建物の中は多幸感であふれていた。


自立した生活ができない間は、反逆する機会もめったにないのだ。


p149より

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マルドナドの部屋から他の地域のデモ隊と連絡を取ると、デンバーとロスもHEW地域事務所からの立ち退きを拒否。


ワシントンDCでも本省ビルに仲間たちが立てこもっていることがわかった。


DCは約五〇名

デンバーは七名

ロスは二〇名


その時、著者たちは実に連邦政府の四つの建物を同時に占拠していたのだ。


ここで、DCの仲間からこの抗議活動に対するカリフォノ長官(この人が調印を押さない張本人)の反応について最新情報が流れてきた。


カリフォノはデモ隊と会うためだけに出張先から急遽戻ってきたというのだ。


カリフォノはよほど動揺していたのか、オフィスのコーヒーテーブルの上に立って声明を発表した。


その内容はこうだ。


施行規則には署名する予定である。


ただし、五月中になる。


施行規則を検討するための時間がもう少しだけ必要だ。


これを聞いた瞬間に、キティが激怒した。


「これから「検討」する、本当にそんなことを言ったの?」


著者も「信じられない」と言った。


パット・ライトも冷静に言った

「カリフォノは、事態をよくのみ込めていないようだね」


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この三年間、施行規則は検討され、コメントを受け、修文されてきた。


カリフォノはそれでもまだ検討が必要だと(しかも私たちの意見も取り入れず)言う以上、私たちと一緒に取り組む気などないことは明白だった。


〜中略〜


私たちに相談なく、私たちの生活を左右する決定を下す人たちにはいい加減うんざりだった。


p150より

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この後、カリフォノはデモ隊を監視し、食糧や薬を一切持ち込ませるなといった兵糧攻めを展開した。


それ以降、DCのチームはひとりコップ一杯の水とドーナツ一つで耐えていたとDCチームから聞いた。


次の議題は、建物内に残ったデモ隊の生活をどうするかだった。


著者たちの思考や行動は何かを成し遂げるためにはいかに準備が必要か気づかせてくれます。


・食糧調達班

・医薬品班

・メディア・広報班

・連帯しパートナーとなってくれる協力団体との渉外を担う班


加えて、障害種別を超えて団体間で連絡を密に取り続ける必要もあった。


それは

視覚障害

聴覚障害

認知障害のある人たちとその親たちだ。


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「この抗議活動はあらゆる障害種別の人に関係する」ということは私たちにとっては当たり前だったが、その考え方を理解すること自体が、世間にとって大きな変化の一つだった。


〜中略〜


私たちは、ローザ・パークスマーティン・ルーサー・キング牧師、そして、グロリア・スタネイムや全米農業労働者組合の影響を受けて育った世代として、自分たちが強力な体制に立ち向かう弱小集団であることを自覚していた。


私たちの中で声を一つにできない限り、勝ち目は絶対にない。


p151〜152より

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著者は息抜きの時間もきっと必要だと感じ、最後にレクリエーション班を加えた。


食糧の手配も済み、警察との対応を協議した。


そして、どうにか、皆、寝床を見つけていき、著者はドアの裏にある貨物用エレベーターの外で寝ることになった。


翌朝、著者はハッとして目覚めた。


「ここはどこ?」


硬い床の感触で思い出した。


朝6時、著者は普段から早起きなため、3時間も寝ていなかったが驚きもしなかった。


とにかく起きて、早くメディアの報道ぶりを確認したかった。


「身障者の占領軍がサンフランシスコ連邦政府ビルを占拠」という見出しがついていた。


著者たちの立てこもりデモはベイエリアのあらゆる新聞、テレビ、ラジオで報道されていた。


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「すべては、ここフルトン・ストリート五〇番地にある連邦政府ビルの外で午前中に開かれたあるイベントから始まりました。午前中にその抗議集会が終わるとすぐに、障害者たちがビルに侵入し始めたのです。」


私たちは、まるで他国の占領軍のように報道されていた。


p154より

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世間は度肝を抜かれたが、このデモに参加した著者たちを闘士としては考えたことなどなかっただろう。


というよりは、著者たちのことなど考えたこともなかったのだ。


これは嫌味ではなく、本当にそうだったと思う。


日常生活の中で、社会にとって私たちは概して「目に見えない集団」だったと著者は綴っている。


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考えてみてほしい。


あなたが学校で私たちに出会わなかったなら、それは私たちたちには入学が認められていなかったからだ。


職場で私たちと出会わなかったらなら、

それは私たちが物理的に職場にアクセスできないか、雇ってもらえないからだ。


いつも使っている公共交通機関で私たちに出会わないなら、バスや電車がアクセシブルではないから。


レストランや劇場でも、同じ理由で私たちの姿を見ることがないとしたら


だとしたら、日々の生活の中のいったいどこで、あなたは私たちと出会っていたのだろうか?


p154〜155より

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出会ったとしたらどこだったか?

それはおそらく、テレビの中だ。


チャリティ番組で見る障害者のイメージが1番強く残っているのではないだろうか?


著者はこう綴る。


どのチャリティ番組も、視聴者の同情、むしろ哀れみを引き出すという明確な目的のもと、病弱に見える子どもを見せ物にしていた。


これらの番組による「病気で可哀そうな障害者」というイメージが、多くの人の考え方(障害者が社会に出てこられない原因は、障害者の健康状態にある)をつくりあげてしまった。


こんなふうにデモや反撃を加えるような人たちではなく。


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今こそ、私たち自身の手で私たちの物語を伝えるときだった。


連邦政府ビルを占拠しておいて、その理由を誰にも話さずにいるわけにはいかない。


p155より

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次回、第六章 占領軍 その2


勢いに乗って、メディアに声明文を送り、記者会見のために多くの記者たちが集まってきた。


うまくいっていると思っていた矢先、カリフォノによる兵糧攻めでワシントンDCチームが陥落する。


さらには世論を騙すためにカリフォノはまるで障害者たちに対して理解があり、寄り添っているような声明文を発表する。


ひとり、またひとりと、離脱していく仲間たち。


著者たちはどうなってしまうのか?


次回もよろしくお願いします。


私は毎週、日曜と水曜を担当させて頂いております。


もし、今回の記事に対して何か感じる事がありましたら、ぜひ、皆さんの声もお聞かせ頂けたら幸いです。


最後までお読み頂きありがとうございました。



担当:くまたん


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過去記事のリンク


ぜひ、こちらも読んでみてください♪



シリーズ① 「チベットの生きる魔法」

"師からの助言"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/20/120000



シリーズ② 「チベットの生きる魔法」

"物事は悪くとってはいけないよ"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/23/120000



シリーズ③「チベットの生きる魔法」

"変化しないものなどない"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/27/120000



シリーズ④「チベットの生きる魔法」

"無我について"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/30/120000



シリーズ⑤「チベットの生きる魔法」

"苦、不満足について"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/04/120000



シリーズ⑥「チベットの生きる魔法」

"ただここにあることをまなぶ"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/07/120000



シリーズ⑦「チベットの生きる魔法」

"戦士のスローガン"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/11/120000



シリーズ⑧「チベットの生きる魔法」

"四つのかぎりない特性"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/14/120000



シリーズ⑨「チベットの生きる魔法」

"愛あふれる優しさ"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/18/120000



シリーズ⑩「チベットの生きる魔法」

"愛あふれる優しさ②"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/21/120000



シリーズ11「チベットの生きる魔法」

"思いやり"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/25/120000



シリーズ12「チベットの生きる魔法」

"トンレン"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/28/120000



シリーズ13「チベットの生きる魔法」

"心に響いた言葉"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/01/120000



シリーズ14「チベットの生きる魔法」完結

"偏見のない心で"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/04/120000


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シリーズ① 「死について41の答え」

"疑いを尊重する"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/08/120000



シリーズ② 「死について41の答え」

"疑いを信頼する"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/11/120000



シリーズ③ 「死について41の答え」

"信者ではなく探求者に"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/15/120000



シリーズ④ 「死について41の答え」

"人のことを考えるな"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/18/120000



シリーズ⑤ 「死について41の答え」

"この世から自由になる"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/22/120000



シリーズ⑥ 「死について41の答え」

"この世から自由になる②"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/25/120000



シリーズ⑦ 「死について41の答え」

"未知なるたび"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/01/120000



シリーズ⑧ 「死について41の答え」

"死は最後のタブー"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/05/120000



シリーズ⑨ 「死について41の答え」

"自分を犠牲にしない"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/08/120000


シリーズ⑩ 「死について41の答え」完結

"全世界を忘れる事だ!"

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/12/120000


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シリーズ① 「わたしが人間であるために」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/15/120000


シリーズ② 「わたしが人間であるために」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/19/120000


シリーズ③ 「わたしが人間であるために」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/22/120000


シリーズ④ 「わたしが人間であるために」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/26/120000


シリーズ⑤ 「わたしが人間であるために」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/10/03/120000


シリーズ⑥ 「わたしが人間であるために」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/10/06/120000


シリーズ⑦ 「わたしが人間であるために」

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シリーズ⑨ 「わたしが人間であるために」

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シリーズ⑩ 「わたしが人間であるために」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/10/20/120000


シリーズ11 「わたしが人間であるために」

https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/10/24/120000


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