こんにちは、くまたんです。
今回もジュディス・ヒューマンさんの
「わたしが人間であるために」を
ご紹介させて頂きます。
よろしくお願いします。
「 わたしが人間であるために 」〜シリーズ②
第一章 蝶
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登校初日、母はわたしにピンクの花柄ドレスを着てほしかったようだ。
起床、着替え、その他のあらゆることを母の介助に頼っていたので、母が選んだ洋服ではない別の服を着たくても、わたしには不利だった。
〜中略
でも、その日、母は時間をかけてわたしに服を選ばせてくれた。おかげで、わたしは自分が本当に着たかった洋服を着ることができた。
わたしは、グリーンのドレスを選んだ。
p36より
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私はこのジュディスさんとお母さんのやり取りが好きです。
学校に入学拒否をされ続けて3年。
その間、ずっとお母さんは著者と同じポリオの子どもを持つ親を探し、学校を調べ、ニューヨーク市の教育委員会の人たちと会って話をし、情報を集め続けてきた。
その結果、「ヘルスコンサベーション21」という学区内の学校で提供されていた障害児向けプログラムを見つけてきてくれました。
だからこそ、その入学式の日は著者にとっても特別な日であったと同時に、お母さんにとってもとても特別な日であり、頭の中では娘がピンクの花柄ドレスを着て学校に向かう晴れ姿のイメージがあったのだと思います。
いつもならば、お母さんの意思で選んでいたドレスを、時間をかけてジュディスさんが自分の意思で納得するまで着る服を選ばせてくれたことが、
娘である著者を1人の人間として1人の女性として尊重した瞬間のエピソードだと感じました。
この時、著者は9歳。
私は9歳の時はどうだっただろうかと、思い出してみましたが、自分で何かを選ぶという機会はなく、自分の意思を尊重してもらった記憶もなく、親が選択するものを与えられ、そのことに疑問を持つこともなく敷かれたレールを強制されていました。
「あなたのため」という親のエゴ。
私の話をそのまま受け入れ、共感するのではなく両親の頭の中の普通、常識、ルールに私を当てはめて判断をされてきました。
だから、両親の中の都合の良い子ども像に振り回され、否定され、そこに「私」はいなかった。
だからこそ、この本を読んでいて、こうして娘の意思を尊重してくれる著者のお母さんの姿が特別印象に残ったのだなと思います。
話を戻します。
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学校に通うってどんな感じなんだろう?
考えるだけで胃がひっくり返りそうだった。
学校に通うということは、とてつもなく大きな変化だった。
p37より
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著者は沢山の期待と希望に溢れながら
沢山の悩みや不安を胸を膨らませる。
例えばバスに乗ったこともなかったけれど
段差があるのは見て知っていた。
じゃあ、どうやって乗るんだろうか?
著者の不安はその後に来たリフト付きのバスで
安全に牽引されフックで固定され、シートベルトをつけてもらったことで安心へと変わる。
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ようやくワクワクしてきた。
わたしは車いすのまま乗れるバスに
乗っているんだ!
p39より
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車いすの視点からの世界を私たちは想像しない。
いや、しようとする選択すら浮かばない。
自分たちの世界の視点でしか見ていない。
これだけ沢山の人たちがいて
皆、自分の視点や自分の常識以外に世界があることを知らないのだ。
これは当事者視点を考え、想像することをせず
安全な場所からこうすればいい、ああすれば良いと「冷静」で「安全」だったらとれるであろう行動をドヤ顔で書き込んでくるSNSの人たちを見ると一目瞭然だと私は思うのです。
誰だっていつ当事者になるかわからないのに
その可能性なんて万が一も考えずに
「自分にはそんなことは起きない」と本気で信じている方々も多い。
アメリカでは既に1956年の時点で車いすの方が乗れるバスを開発していた。
じゃあ、日本初はいつだろうか?
早速調べてみました。
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やまゆり号は町田市といすゞ自動車が共同開発した日本第一号の車椅子のまま乗車可能なリフト付きバスです。
1972年2月16日に町田市が日本で最初にリフト付きバスによる移送サービスとして、「やまゆり号」の運行を開始しました。
このことによって、車椅子の方々が安心して病院等に出かけることが出来るようになり、町田市が投じたこの一台が日本全国に広まっていきました。
町田市 障がい福祉課からのお知らせより
https://www.city.machida.tokyo.jp/iryo/syougai_hukushi/syougaitorikumi/yamayurigou.html
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日本ではいかに健常者と呼ばれる人たちばかりを優先してきたかがわかります。
日本は健常者が中心の社会で
あるはずもない社会の片隅に
障がい者の方々を追いやってきた歴史がある。
目を背けずに現実を受け止め続けなければ
ならない問題だと思います。
私もつい最近まで児童相談所や施設の存在すらほとんど知らなかった。
つまり、この社会は日常的にそういった場所を語ったり、どのような場所なのかを知る機会を意図的になくし、隠していると感じました。
世界的にも豊かで平和な日本だという幻想を
信じ込まされてきたように思います。
話を戻します。
この後、著者は自分の友人たちから聞いていた学校の姿との違和感に気づいていきます。
この時、ジュディスさんは友だちの介助をすることを楽しいと思うようになったり、読み書きを知らなかった友だちが読めるように手伝いを始めました。
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時間をかけて聞かなくていいだなんて
絶対に思わなかった。
だって、みんな友だちだったから
p43より
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私の周りにはとにかくしっかりと子どもの意思を尊重し、話をじっくり聞こうとしてくれる大人がほとんどいなかった。
著者の家のように討論や議題をあげて語り合うことがなかった。
必ず大人たちの価値観や決めつけ、思い込みを押し付け、話を最後まで聞こうとせずにすぐに何かの枠に当てはめ、わかったふりをする人たちが多かった。
そこに尊重のカケラもなのでありませんでした。
次回は当時の特殊学級に通う子どもたちの状況。
この時、著者が学んだ、のちの成功に必要なことをシリーズ③にてお伝えしていきたいと思います。
もし、今回の記事に対して何か感じる事がありましたら、ぜひ、皆さんの声もお聞かせ頂けたら幸いです。
最後までお読み頂きありがとうございました。
担当:くまたん
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過去記事のリンク
ぜひ、こちらも読んでみてください♪
シリーズ① 「チベットの生きる魔法」
"師からの助言"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/20/120000
シリーズ② 「チベットの生きる魔法」
"物事は悪くとってはいけないよ"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/23/120000
シリーズ③「チベットの生きる魔法」
"変化しないものなどない"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/27/120000
シリーズ④「チベットの生きる魔法」
"無我について"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/06/30/120000
シリーズ⑤「チベットの生きる魔法」
"苦、不満足について"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/04/120000
シリーズ⑥「チベットの生きる魔法」
"ただここにあることをまなぶ"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/07/120000
シリーズ⑦「チベットの生きる魔法」
"戦士のスローガン"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/11/120000
シリーズ⑧「チベットの生きる魔法」
"四つのかぎりない特性"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/14/120000
シリーズ⑨「チベットの生きる魔法」
"愛あふれる優しさ"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/18/120000
シリーズ⑩「チベットの生きる魔法」
"愛あふれる優しさ②"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/21/120000
シリーズ11「チベットの生きる魔法」
"思いやり"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/25/120000
シリーズ12「チベットの生きる魔法」
"トンレン"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/07/28/120000
シリーズ13「チベットの生きる魔法」
"心に響いた言葉"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/01/120000
シリーズ14「チベットの生きる魔法」完結
"偏見のない心で"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/04/120000
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シリーズ① 「死について41の答え」
"疑いを尊重する"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/08/120000
シリーズ② 「死について41の答え」
"疑いを信頼する"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/11/120000
シリーズ③ 「死について41の答え」
"信者ではなく探求者に"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/15/120000
シリーズ④ 「死について41の答え」
"人のことを考えるな"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/18/120000
シリーズ⑤ 「死について41の答え」
"この世から自由になる"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/22/120000
シリーズ⑥ 「死について41の答え」
"この世から自由になる②"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/08/25/120000
シリーズ⑦ 「死について41の答え」
"未知なるたび"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/01/120000
シリーズ⑧ 「死について41の答え」
"死は最後のタブー"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/05/120000
シリーズ⑨ 「死について41の答え」
"自分を犠牲にしない"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/08/120000
シリーズ⑩ 「死について41の答え」完結
"全世界を忘れる事だ!"
→https://npoacoa.hatenablog.com/entry/2021/09/12/120000
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